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好きなんですあなたのことが。だから、いいですよね?





最近青舜の顔がまともに見れない。理由は定かではないが、ちらりとでもあいつの顔を見たら、何と言うかその...動悸や息切れその他諸々の症状が私を蝕むのだ。


...は、もしやこれは更年期障害...?


「何てことだ...」


部屋の片隅で打ちひしがれた。いつの間に私はそんなに年をとっていたのか...いやいや、言ってもまだ16だぞ。そんなバカな、一体なぜ...


「紅玲様!!白龍皇子からおいしいお菓子を頂いたのでよろしければ一緒に食べませんか?そして泡良くばエロいおみ脚を舐め回させて頂きたく......何やってるんですか紅玲様」

「目の前の事実に絶望していたところだ」

「ちょっとよくわかんないです」

「ついでに言うとお前の非常に残念な言動にも今し方絶望したところだ」


なんでこんな意味わかんないことを口走るのか。初めて会った時はこんなんではなかったはず...。いや、最初っからこんなんだった。

お前にはわかるまい、この年齢にそぐわない由々しき体の機能が。
そしてそれは、今青舜が来たことによって再び再発していたのだった。

あぁ、顔が熱い...


「元気出してくださいよ!私がお菓子食べさせてあげますから!はい、あーん」

「やめろ」

「そう言わずに!」


ぐりぐりと菓子を口に押し付けてくる青舜に鬱陶しさを感じつつ、いつまでもこんなことをやっていてもキリがないと思い直し大人しく口を開けた。


「(もそもそ)」

「......紅玲様」

「...な、なんだ」

「ぱんつ見えてます」

「なッ」

「うっそー」


真剣な顔をしたと思ったらこれだ。なんだぱんつ見えてますって。
いつものようにシバきあげようと腕を振り上げたものの、青舜が視界に入った瞬間ボッと顔が燃え慌てて顔をそらした。ついでに距離も離す。


「紅玲様?」

「そ、それ以上私に近付くな!!」

「な、なぜ...!?」


まるでこの世の終わりのような顔をした青舜は、じりじりと私ににじり寄ってきた。だ、だから寄るなと言っただろ!!!


「お、お前が近くにいると...自分が自分でないみたいになる...」

「...へ?」

「これはきっと病だ...。心臓が誰かに握りしめられたように痛むし、顔が熱に浮かされたように熱くなる...。私に近寄れば、お前も同じ症状に......!?」


唐突に、ぎゅっと青舜に抱きしめられた。いつの間に近くに来ていたんだとか、そんなの全部頭の中から吹っ飛んでいった。


「その病、私もとっくの昔にかかってますよ」

「え...?」

「紅玲様を見ていると、心臓が飛び出そうなくらい激しく脈打ったり、顔が熱くなったり、どうにかなってしまいそうになるんです」

「あ...」


同じ、だ...。私の身に起こる症状と...。
少しだけ私から体を離した青舜は、徐に私の手を取り自分の左胸に当たるところに押し付けた。


「わかりますか?あなたのそばにいることで、私の胸がどれほど高鳴るか...。顔に出ないだけで、結構ギリギリなんですよ」

「そうか...」

「わわ、紅玲様!?」


戸惑う青舜の声が聞こえる。そっと胸に耳を付けると、心臓が弾けそうなくらい速く動いていた。


「...速いな」

「当たり前じゃないですか」

「その、お前もかかるほどの病って、何なんだ?」

「ふふ、恋って言うんですよ」

「......こい?」


中庭の池で優雅に泳ぐ綺麗な鯉が頭を過ぎった。


「魚じゃないですよ」

「なぜわかった」

「紅玲様のことならなんでも」

「...なんか、釈然としない...」

「...とにかく!」


ぐりん。突然視界が反転したとこにたまげた私はぱちくりと瞬きをする。目の前にはなんとも晴れ晴れとした笑顔の青舜と、私の部屋の天井。


「な、ちょ、青舜!?お前何して...!」

「まだわかりませんか?つまり...」





好きなんですあなたのことが。だから、いいですよね?


「だからの意味がわからん!!!」




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