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今日はくのたま忍たま五年の合同野外授業の日。内容は二人一組でペアになって、一週間のサバイバルだ。その際、各ペアに“天”か“地”と書かれたどちらかの札が配られ、自分たちが持つ札とは違うものを他ペアから奪うのだ。

ちなみに、ペアはくじ引きである。


「えっと、14番は誰だろう...」

「ゆきめ」

「あ、兵助じゃん」

「14番だろう?俺もなんだ」

「わ、まじか!嬉しいな、兵助がいれば百人力だよ !」

「そんなことはない。ゆきめだって暗器の名人じゃないか」

「名人だなんて照れるなぁ。ま、一週間よろしくね!」

「あぁ、こちらこそ頼む」


こうして私と兵助には天の札が配られ、裏裏裏山に赴いたわけなのだが...


「おい、ガキ共!金目のもの全部出しやがれ!」

「僕たちそんなもの持ってません!」

「ただのしがない子供A、B、Cでーっす!」

「そーだそーだ!」

「うっせぇ!!」

「「「ひぃぃいいい!!」」」


なんでこんな所にいるのかね一年は組の良い子たち。
複数の山賊に周囲を囲まれた乱太郎、きり丸、しんベヱはお互いを抱きしめ合いながら山賊を睨みつけていた。


「うっわぁまじか。なんでここにいるのさあの子たち」

「そんなこと言ってる場合か。助けるぞ」

「おうよ」


しっかりと、ボスだと思われる人物の後頭部を狙って木から飛び降りる。


「よいしょおおおおおおおお!!」

「ぐぼはぁッ」

「「「親分ー!!!」」」

「ハッハー!クリーンヒット」

「ゆきめ先輩!」

「てめぇ...ぐふッ」

「背後に御注意。なんてな」

「久々知せんぱいぃいいい...!!!」


その他の山賊をちぎっては投げ、ちぎっては投げ。そうしていると、はい!でっかいおやまのかーんせいっと。


「うわああああああん!ありがとうございますううううう!!!」

「俺たち、こんどこそ死ぬかと思いました...!!」

「助けてくれてありがとうございます!」

「いーよいーよ、お礼なんか!可愛い後輩だもん、当たり前だよ」

「そうだ、気にするな」


顔中からいろんなものを垂れ流しながら泣く三人に兵助と顔を見合わせて苦笑した。

...不意に、後ろからの殺気に振り返った。 


すぐ後ろに山賊。多分そこに転がってる人たちの仲間かな。刀を振り上げて迫っていた。
苦無で受け止めようにも時間がない。こんなすぐ近くまで接近を許したのか、私は。


「ゆきめ!!」


兵助が寸鉄を握り締めて足に力を入れた。だめだよ。さすがに寸鉄じゃあ刀を防ぐのは難しい。

油断した、大人しく切り捨てられるか。


そう思ってぎゅっと目を閉じた。けれど刀による痛みは全く来ず、かわりに山賊のと思われし悲鳴が耳に入った。

...え、一体何。


「ゆきめ先輩、大丈夫ですか!?」

「え、あぁ、うん...私はなんともないけど...え、どうなってんの」

「ひょう刀だな」


バキバキと山賊をフルボッコにし、ペイッと投げ捨てた兵助が涼しい顔で言い放った。ちょ、おま、ほっぺに返り血付いてるから。


「ひょう刀って...」

「...会ったらお礼でも言っとけ」


ぽん、と私の頭に手を置いた兵助は、裏裏裏山の入口にいる先生を呼びに行ってしまった。
あー、悔しいなぁ。いくら暗器の名人って言われても、こうも油断して助けられちゃ世話ないや。


「ゆきめ先輩?大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫だよ。無様なとこ見せちゃったね。もう少しで先生くるから、一緒に待ってようか」


お前の負けだと、真っ正面から言われたみたいだった。




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ひょう刀って漢字が出てこなかったので平仮名で表記してます。