自殺部5 | ナノ


気分が落ち着いた頃、俺は時計をみた。
・・・俺が寝てから、十五分ほどしか経っていない。
まあ、今日はよく寝れない、そんな日なんだ。
身体は汗でべとべとだし、いつもより早い時間だが気分転換に風呂にでも入ろう。



「ふぅ、気持ち良かった〜。」
パンツ一丁で、首に僅かに湿り気のあるタオルを巻いたまま、台所へ行く。
独り暮らしでなくではなかなかできない芸当ともいえよう。
そして今がとても大事な時だ。
漢なら・・・やらねばならない、重要条項。
それは―――・・・風呂上がりの牛乳イッキ飲み!
しかも今日はちょっと奮発をしてフルーツ牛乳だッ!!
・・・イッキ飲みというものは、案外技術が必要である。
精神を研ぎ澄ませ牛乳をただ流し込むことだけに集中し、
且つ舌の味蕾(みらい)を総動員させその味を楽しまなくてはならない。
勿論、農家の人や牛にも感謝をしながら。
・・・しかし、それだけイッキ飲みの達人ともいえる(?)俺なのだが、思わぬ失態を侵していた。
―――テレビが、ついている・・・!?
しかも、これは相当面白い番組だ。
毎週ほぼ欠かさず見ているが、必ず十回以上は吹く。
しかし、もう後の祭りだった。
もう牛乳を飲み始めてしまったからだ。
・・・いや!牛乳を飲むことだけに集中をすればいい!何も聞こえない・・・テレビなんてない・・・。
あと少しで!あと少しで飲み終わる―――!
だが。
「〜〜〜〜〜〜ってか!」
俺の鼓膜にそのクオリティの高い、高評価をせざるをえなくなるような、拍手でも送りたくなるような話が響いた。
ただ今は賞賛の言葉を送りたい気分では無かったが。
そしてその次に聞こえたのは、なにかが噴き出されるような音だった・・・・・・。


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