自殺部6 | ナノ
「げっほ、がほかへぇえっ!」
俺がこれでもかと言わんばかりに咳き込んでいると、携帯電話が鳴った。
だ、誰だ、こんな非常事態に・・・。
こちとらき、気管支に・・・うぇ・・・っ。
俺が苦しんでいようがいまいが、容赦なく携帯は鳴り続ける。
曲はSouthernCross。すごく、好きな歌だ。
でも今の俺には、いくら好きな歌で急かすように鳴かれても、
死人に鞭打つような意味のない行為であり、戦闘BGMで俺が敵、みたいな感じにしかならなかった。
「し、仕方ないなぁ・・・誰だよ、げほ、もう・・・。」
悪態をつきつつケータイを取る。
浅井だった。
「もしもし?谷在家?」
「も、しもし・・・げほげご。」
自分のものとは思えないような、酷い声。
ちくしょう、喉が痛い。
「どしたん?その声。」
「ま゙あ゙、いろいろあってね・・・。」
「あはは、ひどい声!」
「うるせーな・・・で、何の用だよ?」
「うん、ちょっと聞きたいことがあって。
遊ぶの何時まで平気?」
「う〜ん…バイト入ってるから5時くらいまでかな。」
バイトは毎日五時間以上入っている。
家族がいないから、自分で稼がなければならない。
まあ、親戚で生活費送ってくれる人も、家族の生命保険の金もあるけど・・・それだけに頼って甘えたら駄目になっちまうからなぁ・・・。
「5時だね、わかった。
・・・あのさ、今度泊まりにこれないかな?4月4日に。」
「泊まりぃ?ちょっと待て、今スケジュール見るから。」
ケータイをいじって、スケジュールの書いてあるカレンダーを見る。
えーと・・・日曜日、か。
まあ日曜日のバイトはゆるいからシフトはなんとかなりそうだし。
一カ月ぐらい先か。
「んー大丈夫。浅井んちは良いわけ?母さんとかさ。」
「大丈夫だよ、その日は二人とも親戚の法事に行くから。まあ私は翌日学校だからいけないしね。」
「んじゃー独り暮らしの俺の腕前とくと見せてやっからな!覚悟しとけよ!」
「うん、楽しみにしてるね。約束、だよ。破らないでね?」
「わかってるって!俺が今まで約束破ったことあるかよ?」
「うん・・・信じてる。」
「あっ・・・と、悪いけどもう寝る時間だから。切るな。」
「うんおやすみ。」
「おうおやすみ。」
俺は電話を切ると、座布団の上に座った。

次ページへ
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -