Gift | ナノ

雪花湯煙…?

簡易人物紹介
※カナタ(陽射さま宅夢主ちゃん)
※冷炎(バシャーモ♂擬人化)
※メイザ(メタモン擬人化)



雪が散り湯煙漂う、そんな島で出会ったのは、

「なまえさーんっ!」

「きゃっ!?わっ、あ…カナタ?」

全力で抱きつきにくる黒髪と金の瞳の女の子でした。byなまえ。


パンクハザードからドレスローザへ迎う途中に温泉で有名な島に立ち寄った麦わらの一味+αは、トラファルガー・ローの妻・なまえに全力包容をかます少女に圧倒されていた。

「ローと結婚するって聞いた時ほんっっと脅されてんじゃないかと思ったけど元気そうで良かった〜!あれ?ちょっと痩せた?」

「カナッ……カナタ、ちょっと待っ、ひゃんっ」

「なまえさん細いんだからちゃんと食べて寝ないとダメじゃん」

「食べてる、食べてちゃんと寝てるから、そんな触っちゃダメ……!!」

天下の往来、総合懸賞金額はローを含め堂々の12億4千と飛んで50Bの一行の目の前で男だったら海軍にしょっぴかれるんじゃね?レベルでなまえに触れるカナタ。

「スッゲー嬉しそーだなー!トラ男、あいつと知り合いか?」

「…………あァ、まァ、一応は」

「何だ?その絞りだすみてェな渋々した答え」

純粋に楽しそうと思っていっているルフィに苦々しく答えたロー、俺も混ざりたいと駆け出しそうなサンジの襟を掴むゾロが眉を寄せる。

「いい加減離してやれ。なまえが圧迫感と羞恥心で窒息すんぞ」

べりィッ!とカナタとなまえを引き剥がしたのは銀髪の青年で、カナタの頭に手刀を落としてからなまえの髪や服を直してやって、ぽん、と手を乗せた。

「悪いな、なまえ。ウチのバカマスターの暴走止められんかった」

「ううん。大丈夫だから気に「バカとは何だバカとは!!ツンデ冷炎ヘタ冷炎のくせに!!」……冷炎もいつも大変だね」

「もう、慣れた……」

銀髪だからとかではなく純粋に煤けて見える冷炎の姿が悲しかった。




▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

お互い名乗り合い、当然のようにルフィに気に入られたカナタと冷炎は、どうやらこの島の温泉でのんびりしていたらしい。

「地元にも温泉地あるけどこういう所の温泉も楽しいから朝から梯子しまくり」

「血行促進系ばっかで美肌だの何だのにゃ一個も行ってねぇけどな」

「!美肌の湯もあるの?」

がしぃっ!とナミがなまえとロビンの腕を掴んだ。冷炎はその反応に微妙に体を引きながらうなずく。

「この先の赤い暖簾の所がそのはずだ」

女性陣は寒気と戦闘で肌も髪も痛んでいたため、男性陣はバラけると面倒な奴(特にゾロ、次点ルフィ)がいるため「じゃあ俺らも」とその温泉へ行く事となった。

In男風呂

「だからって俺とメイザを見張りにたてるか、普通……」

「僕は両性具有だかラってノもあるんだロウけどネ」

片や髪をあげて浴槽の縁に腰を下ろしている冷炎。
片や、目立つピンクの髪を適当にまとめて肩まで湯槽に浸かる糸目の男。

“覗こうとしたら容赦なくやっちゃっていいわよ!多少の事で音を上げるような連中じゃないから”とのナミの言葉から、女湯に突撃かましやがりそうな面子の見張りをしております。

「クッソ……冷炎!メイザ!お前らには男の浪漫がわからねェのか!?壁一枚向こうに麗しのレディ達がいる、こんな生殺しに耐えろっつーのか!!お前らは耐えられるのか!?」

「覗きは浪漫とは言わねぇよエロコック」

血を吐くような全身全霊全力のサンジを冷静に切り捨てる冷炎にゾロがニヤッと笑って指をたてる。

メイザは糸目だから余計に胡散臭く見える笑顔で楽しげに。

「半端に脱がセて恥じラわせルのが浪漫でショ。全裸は情緒が無い」

「黙れ脳内ショッキングピンク」

「ぬゥ…流石は変幻魔獣殿……!!状況に左右されぬ上、目の付けどころが違う」

「錦えもん、お前そろそろ侍名乗るのやめろ。他のストイックに生きてる連中に謝れ」

「ヨホホホホッ、冷炎さん、これまた手厳しいですねぇ」

「90歳のジジィが孫子の年齢の女の裸だの下着だのに盛るな生ける骨格標本」

段々と蓄まっていく冷炎のストレが見える気がしたウソップは、露天風呂で騒ぎまくる我らが船長と船医と子侍に混じらず、なぜかカナタ一行の登場から異様に口数が減ったローに首を傾げた。

「えーと……どーしたよ?カナタ達が来てからなァーんか静かだけど」

「……獣姫屋がいると」

俺がなまえのそばにいられねェ

拗ねたようにぼそりと吐き出された言葉に、聞き耳を立てていたフランキーが大げさなまでに眉を寄せる。

「いつもなら構わずひっぺがしに行ってんだろ、サンジとかよ」

「ソレとコレとは話が違う」

「ロー、前になまえと色々あった話聞いたカナタにぶん殴られてから相性悪いんだヨ」

メイザが軽く言った。
なまえと色々、の内容を多分詳細に聞いていたウソップはそーっと彼に尋ねてみた。

「ソレは…その、あの事デスカ……」

我らが航海士と考古学者が怒髪天となりローの傷口を広げて抉って塩と唐辛子擦り付け、しばらくなまえのおんぶおばけとなるくらいのダメージを食らわせた内容を口にする訳にも行かず、超遠回りに尋ねた内容をメイザはあっさり理解してくれた。

「ソ。ウチのマスター、自分が好きナ相手を傷つけラれルの嫌がルから、止める間もなく」

「つーか……そもそもアレは女に言う台詞じゃねぇだろ」

話に加わってきたのは見張りが続行できる位置に移動した冷炎で、とても不機嫌そうに女湯とこちらを隔てる壁を眺めていた。

「もう許してやりゃ良いんだろうけど…やっぱなまえに辛い思いさせた”ってのが引っ掛かってんだろうな」

「それがわかってんならお前らがあのお嬢ちゃんに言ってやりゃいいんじゃねェか?」

フランキーの台詞に、冷炎とメイザは同時に肩をすくめた。

「ローは弁明とかシない、なまえはローを庇ウ、イコール、」

「頭で分かっても気持ちで拒む。そんなんじゃ俺らが何言っても聞かねぇよ」

責めているようには一切聞こえないが、ローの眉間に皺が増えていく理由は湯槽に浸かっていて体が怠い事だけではないのは、見て取れた。


In女風呂
ちらちらと雪が舞い散り、周りには椿が咲き乱れ、いかにも風情のある露天風呂は貸し切り状態だった。

「風流ってこういう事よね〜。何か贅沢な気分♪」

「そうね。あの島は寒かったから、ここでしっかり暖まりたいわ」

凹凸のはっきりしたナミとロビンを見ていたカナタはとてもしみじみと。

「眼福だろうな」

もう自分と次元が違うと美術品でも見るようにしているカナタに対し、なまえはモデル体型の二人に思い切り気後れしている。

「なまえさん、どしたの?」

「だって……二人とも、モデルさんみたいな体型で……私、ここにいていいのかなって……!!」

「風呂なんて老若男女皆が皆入るモンだし、なまえさん可愛いし体型なんか全く同じ事なんか有り得ないだろ」

さらりと断言するカナタを見上げ、なまえはとてもしみじみと呟いた。

「……そういう事さらっと言えると女の子にもてるよね…」

「まぁね、っと!?」

「あんたの場合性別間違って生まれてきたんじゃないの?」

クンッ、と髪を引かれて驚いた顔をするカナタに、呆れた顔を向けるのはナミ。ロビンはそんな二人を見てくすくすと笑い、なまえを手招きした。

「お嬢さんもゆっくりしたらいいわ。彼がいたら何かと気を遣ってばかりだもの」

「あ、いえいえ。これからお世話になりますし、お手伝いできることはさせてください」

何とも健気なその台詞。もし万一その類の言葉がローから出ようものなら何かの凶事の前触れかと狙撃手が騒ぐ事間違いなし。

「……ほんと、トラ男君とは真逆の性格ねー」

「勿体ねー事この上なしなんですけどマジで。かっさらってくれようか」

「カナタ、目が本気すぎてお嬢さんが私の後ろに隠れたのだけど」

おっと、とカナタが口を手でふさぐもロビンの背中に隠れるように湯槽の中を動いてしまったなまえの目には薄い水の幕が張っており、カナタは申し訳なさそうに顔を歪めた。

「しないよ、なまえさんはローと離れられないし離れたくないし、そもそもローが手放すつもりはないだろ?」

あら、と三者三様の反応が返される。
やらないの?と意外そうにするナミ、あらあら、と半分傍観しているロビン、そしてなまえは、

「………カナタ?」

彼女からそんな言葉が出ると思っていなくて、瞬きをしたら涙の雫がぽろりと落ちて湯と同化する。

「俺もそこまで野暮じゃないの。人の恋路に首突っ込んでメブキジカに蹴られる程バカじゃないし」

「そこは素直に馬って言いなさい。私達その生き物知らないんだから」

ぺしりとナミに額を叩かれ、カナタは肩をすくめて続けた。

「惚れた女を必要ない所で傷つけたのが気に入らないってだけ。ただねー…俺、それで割り切れるほど人間できてないから、」

シリアス顔から一転、中性的な顔に悪戯っ子のような表情を浮かべたカナタはすーっと湯槽の中を移動して遠慮なしになまえに触れた。

「ゎ、きゃぁあっ!?」

「ローに喧嘩売っちゃう訳ですよ♪なまえさん柔らかーい!もち肌」

風呂でのスキンシップに走るとは思っていなかったのか、パニクって暴れるなまえ、それを押さえ込んで楽しげになまえを弄り倒すカナタ。
そんな異海の人間ふたりに、ナミとロビンは顔を見合わせ、更に竹を組んだ壁一枚隔てた先の男風呂に目をやり……

「なまえも触らせてばっかじゃなくて触っちゃいなさいよ、こういう風に」

「ちょっ、ナミ何で俺ってかどこ触ッ、ゃぁんっ」

「あらあら……真っ赤になっちゃって。そんなに恥ずかしかったの?」

「ひゃぁあっ…!!ろびんさん、そこ、ダメぇ……」

「ぅ、く……ッ!!」

「声殺すなんて、案外かわいいわね」

「ぇ…!?だめ、むり、です…ぅ…っ」

「ふふ、ダメで無理なら振り払って良いのよ?」

とりあえず百合百合しく二人で遊んで向こう側の反応を見て楽しむ事にした。


In男風呂

「あいつら仲良くなったなー、楽しそーだ!」

「すっげェ盛り上がってるな〜」

その手の話に非常に乏しいルフィとチョッパーはとても無邪気に素直な反応を示している。

が。

「僕一応様子見にイッて来ルよ、オンナノコになっテ☆」

「その変換が信用ならねぇんだよメイザ……!!」

明らかによろしくない方向に爆走しようとしているメイザの肩を軋むほど掴む耳どころか首筋まで赤い冷炎。

さて他の面子はと言えば。

「せっしゃ、あちらに混ざってまいる!!」

「あ、折角ですしそれじゃ私も一緒に……」

「ならぬ!ならぬぞ、そんな羨ま………ッいいや刺激の強いものなぞ子が見てはならぬ!!」

親が親なら子も子、煩悩全開なマセガキ・モモの助と父の体裁と本音がポロリしてる錦えもんにモモの助に便乗して無駄に長細い体を湯槽から上げようとするブルック。

アホくせー、と湯槽にどっぷり浸かっていたゾロは、じわりと広がってくる赤い色に目を見開くと同時に心当たりへ目をやった。

「麗しのレディ達の禁断の遊戯………ッこれを見ずして何が男だ畜生…………!!」

「湯槽から出て出血死しろ。何だこの鉄くせェ湯」

温泉の熱+壁越しの声で極度の興奮をきたしたらしいサンジが盛大に鼻血を垂れ流しながら心底悔しげに歯噛みする様を見て、ゾロはまず自分が快適に風呂に入る事を優先した。

別にどうでもいいのか、フランキーは肩越しに壁を見上げ。

「スーパーにふざけまくっちまってんな。逆上せねェと良いが」

他の面子に比べ実に真面目に心配をしていた。

さて。それではある意味真打ち、トラファルガー・ローといえば。

「………………」

無言、ひたすらに、無言だった。

背後から見れば「流石、動じてないな」とか思うだろう、少なくとも、彼を手配書でしか知らない者は。

しかし。

「…………おーい、トラ男くーん」

真っ正面というか、大体斜め前にいたウソップには残念な事に丸見えだった。

「すっげェ目、血走ってるぜー……?」

それこそ、血の涙が出せるんじゃあるまいかとちょっと心配になるくらい真っ赤に血走る目はある意味恐ろしかった。

―コレってアレか、駆け付けたくてもいけないし女湯だし何か声凄いしどうしようもなくなってるパターンか!!

血走り方がマジでヤバかった。何というか……こう、獲物を前にこの上なく餓えた獣が構えてる、みたいな。今、ローの目の前になまえを置いたら楽々規制がかかりそうだ。

別に駆け付けるのは勝手だが、こいつもしやこのまま女湯へ突貫しやしないだろうな。

もし万一やっちまった場合、略奪を許されている海賊だとしても色々とアウトな自体に陥るのは間違いない。

そんな嫌な予感を見事なまでに的中させたトラファルガー・ローその人はタオル一枚+極限にまで血走った目という最悪な装備で女湯へ突貫しようとした……

「ンなヤバい目ぇした野郎を行かせるかボケェエッ!!」←拳に炎纏わせた冷炎。

「イイ感じの鈍器その辺に無いカナァ?」←投げる気満々なメイザ。

「待てェい!!落ち着け、ある意味自殺行為だぞ色んな意味でっ!?」←色々必死なウソップ。

が、腕力で止めようとする冷炎・メイザとその二人含めローも止めねばと奮闘するウソップと、

「別にあいつに害がある訳でもねェだろ」

「医者が怪我してどーすんだよ!」

止める気あるのか無いのか怪しいゾロ・多分内容理解してないチョッパーの台詞で(八割方腕力で)事は修まった。

ちなみに。他にいた煩悩の塊のような面子は便乗して女湯へ突貫しようとした数秒後、素裸で真っ黒焦げになり湯槽に浮かんでいた。



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