素直になろう
甘大タケ山も落ちも意味も無い





学校からの帰り道。ヒカリは珍しくポーチを手に持っている。ヒカリはポーチから小瓶を取り出した。
「ヒカリちゃん、それ何?」
「これ?素直になれる薬よ」
「何に使うの?」
「内緒」
ヒカリはとろとろとしたペールターコイズ色の液体が入ったおしゃれな小瓶を揺らし、笑った。




はぐはぐと指を甘噛みする。
唾液のついたそれをぺろぺろと舐め、上目遣いで大輔を見上げた。
「だいすけくん……ね?ぎゅうして?」
大輔はその可愛さに声も出せず抱きしめた。
タケルの頬はうっすらとピンクに色付き、コバルトブルーの瞳はうるると雫を溜めている。さらさらとした金の髪は指の通りが良く撫でやすい。
もう見ていられなかった。見ていたらどうにかしてしまいそうだった。
「えへへ、だいすけくんのにおいだぁ」
ふわふわとした口調で大輔の服に顔をうずめるタケルはきっと笑っているのだろう。
いつも大輔をからかってくる彼とは別人のように可愛い。普段が可愛くないわけではないけれどいつもの皮肉を聞いては素直になれよと思った事は何度もあったわけで。
今のこの状態は天国のように幸せだ。
幸せなのだけれど、ちょっと生殺しである。
「だいすけくーん?かおをみせてよぉー」
素直になるとともに思考も幼くなったようでエロいことをするわけにもいかず。理性と本能が全力で戦っているのだ。タケルの顔を見たら間違いなく理性は負ける。
「だいすけくん?……むぅ」
腕の中でタケルが拗ねぐるりと反対側を向いた。
「だいすけくんはボクのかおをみたくないんだ」
「そんなことないって。大好きだ!」
「じゃあだいすけくんはなんでボクのかおをみないの?」
タケルは自らの背中を大輔の胸に預ける。そのままのけぞり、タケルを見下ろしていた大輔の顔を見つめた。
タケルの顔を直視した大輔は目をそらすことも出来ない。
「あー、その、な。お前が可愛すぎてちょっと……」
「ボクかわいくないもん!おとこのこだよ!」
「いや、その、な?恋人って可愛いもんだろ?オレはお前がすごく可愛いんだ。いつもの皮肉屋なタケルでも。でもさ、珍しく素直だから可愛くて仕方が無くてだな、ちょっとごにょごにょが……」
「ごにょごにょ?それってなぁに?」
「タケルにはまだ早い、というか今のタケルに教えたらオレがヤマトさんに怒られるからまた今度な?」
「うん、わかった!ねえ、だいすけくん。ボクここからどいたほうがいい?」
「どうしてそう思ったんだ?」
タケルは大輔から目を逸らし前を見ていう。
「だいすけくんにもしたいことがあったのかなっておもったの。ボクのしたいことばっかりしてもらってちゃだめかなって。」
「いいぜ。好きに甘えろよ。今日はお前の貸切だ!」
大輔はいじらしいタケルを後ろから抱きしめた。





素直になろう

(何時だってどんな君だって愛してる!)



おまけ

「ふ!」
いきなりヒカリがタケルの腹に全力の拳を入れる。
「ぐっ!」
息が詰まったところで足を払われヒカリはタケルに馬乗りになる。
ヒカリの尻で腹が圧迫され苦しい。
「タケル君、ちょっと口をあけてくれるかな?」
目だけが笑っていないヒカリに小瓶を口にあてられ、ペールターコイズの液体はタケルの口へと流し込まれた。
「さあ、ごッくんしましょうか」
そういって鼻をつまんだヒカリに命の危機を感じ、タケルはおとなしく飲み込んだ。

タケルにはそこから記憶が無い。




この世界では大輔のほうが身長が高いと考えてください。高校生ぐらい。



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