恋のパーセンテージ

一応、解けない方程式の続き
ーーーーー

土曜日。7/15、緑谷出久の誕生日。
授業のあるヒーロー科を待ち伏せするように、春は校門の前でそわそわと緑谷が出てくるのを待っていた。


「も、もうすぐ来るよね…!き、ききき緊張してきた…!」


ばくばくと心臓がうるさく鼓動し、服の上から胸を押さえる。そして深く深く深呼吸をした。


「だ、大丈夫だよ!お祝いの言葉を言ってプレゼント渡せば良いだけだし…!心操くんだって応援してくれたし!」


応援はしてない、っとどこかから心操の言葉が聞こえてくるようだったが、春の思考は緑谷のことで埋め尽くされた。思い出すのは雄英体育祭での活躍。心操との戦いで緑谷に惹かれ始め、改めて雄英体育祭の録画を見て完全に落ちてしまった。障害物競走から轟との試合までの活躍を思い出し、思わず顔がにやけてしまう。


「かっこよかったなぁ…」


ぎゅっとプレゼントを抱き締めると、生徒たちの声が聞こえてきた。授業が終わったのだろう。現実に引き戻され、再び緊張が襲ってきた。


「が、頑張れ私…!」


大きく息を吸い込み、出てくる生徒に視線を向けた。


「今日も爆豪くんは絶好調に爆ギレだったねー」
「ヒーローらしからぬ言動だったな!彼のあの口の悪さはいい加減直した方が良いと思うのだが…」
「あー…かっちゃんだからね…」
「…!」


思い人の声を聞き、ぐっとプレゼントを握る手に力が入った。袋がぐしゃっと潰れたのすら気付かないほどに緊張している。見惚れている間に緑谷たちはどんどん離れて行ってしまう。はっとして春は緑谷を追いかけた。


「あ、あの!!」


そして大声で緑谷を呼び止める。予想外に出てしまった大声に、緑谷たちは驚いて振り向いた。


「え、えっと…?」
「俺たちに何か用か?」
「あ、あの、み、緑谷くんに…!」
「ぼ、僕?」


自身を指差して確認する緑谷に、春はこくこくと何度も頷いた。緑谷たち3人はぽかんと顔を見合わせる。


「えっと、僕に何か用ですか…?」
「こ、これ…!」
「わっ」


ぐいっとプレゼントを押し付けるように渡した。咄嗟に受け取るも、緑谷の頭にはハテナが飛び交う。


「あの、み、緑谷くん!お誕生日、おめでとうございます!!雄英体育祭のときに惚れました!大好きです!」
「………えぇ!?」
「そ、それじゃ、失礼します!!」
「え、ちょ、待って…!」


春は障害物競走のときとは比べものにならない程のスピードで逃げ出すように走り去る。全速力で逃げる春に緑谷は手を伸ばしたままぽかんとそれを見送った。


「良かったな!緑谷くん!」
「デクくん大人気やね!私も嬉しいよ!」
「え、え、そんな軽く!?だって、今、僕、あ、ああああの子に好きって言われ…!?」


初めての告白に、ぼぶんっと頭から湯気を出した。正常に働かない思考はいつもの切れがない。パニックに陥る緑谷を、青春だなぁっと、麗日と飯田は微笑ましそうに見守った。

そして自宅に帰ってからようやく落ち着き、プレゼントの中に入っている手紙を読んで春に会いに行くのは、きっと休み明け。


end
ーーーーー
出久夢…これは出久夢だと言い切れるけどちょっと微妙な…?最近甘い話ばっかり書いてたせいか…片想いは良いよね…!
手紙には短いメッセージとクラスと名前ぐらいしか書いてないはず。告白するつもりはなかったけど勢いで言っちゃって心操くんにどうしよう!?って相談する子。補足が多い。

title:きみのとなりで

[ 21/26 ]

back