出水先輩に義理チョコ

〜出水先輩に義理チョコ〜

隊室へ入ると、予想通り1人しかいなかった。そのことにほっと息をつく。


「おはようございます、出水先輩!」
「おー、おはよ。太刀川さんいないぜ?」
「はい、良かったです!」
「良かった?」


首を傾げた出水に、春はラッピングされたチョコを差し出した。出水はきょとんとそれを見つめる。


「出水先輩には凄くお世話になっているので!受け取って下さい!」


にこっと笑った春につられて出水も微笑む。そしてその差し出されたチョコを受け取った。


「おう。ありがとな」
「いえ!」
「それで?今年はちゃんと本命に渡せるんだよな?」
「も、もちろんです!」
「ずっと応援してやってたおれの身にもなれよ?ここで渡せなきゃ他の奴からもきっとすげーブーイングだぜ?」
「だ、大丈夫ですよ!ちゃんと渡しますから!」
「なら安心だな」


優しく笑った出水に春ははにかんだ。春が太刀川隊に入ったときからずっと面倒を見てくれていた優しい先輩。

恋愛のことももちろんだが、B級からいきなりA級1位になった春をとても気にかけてくれていた。
太刀川隊になってから、ずっとお世話になりっぱなしだ。


「…私、出水先輩と同じ隊で良かったです」
「は?なんだよいきなり…」
「太刀川隊に入った天才射手が出水先輩で良かったです!」
「いやだから意味分かんねぇって」


呆れている出水に春はただ笑った。

先輩として1番好きって意味ですよ。
そんなことは口にせず、これからもよろしくお願いしますと、春はぺこりと頭を下げた。


→柚宇さんに友チョコ

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