作戦5、プレゼントしてみる


「何をですか?」
「私を、とか馬鹿なこと言わないよね?」
「おおー!澄晴くん凄いね!最初それも考えたんだけど、もう私は二宮さんのものだって気付いてやめたの!」
「…こいつ本物の馬鹿だ」
「ま、まあまあ。で、結局何をプレゼントするんですか?」
「それがね、二宮さんの好きなものが分からないんだよ」


2人からの呆れた視線を感じる…
だって仕方ないじゃん!二宮さんはミステリアスな所も素敵なんだから!



「だからまずはそれを知るために調べてみようと思って!」
「聞くんじゃないんだ」
「いやそれが聞いたら、二宮さん照れ屋だから教えてくれなかったの!」
「それ照れ屋とかいう問題じゃ…」
「だから調べることにしたの!これから二宮さんをつけるよ!」
「え!?マジで言ってんですか!?」
「…俺はパス。流石にバレたら殺される」
「おれもちょっとそれは…」


なんだなんだ!
意気地のない2人だなー!
だったら私1人ででも……


「…また例の作戦会議ですか?」
「あ!新ちゃーん!良いところに!」


たまたま通りかかって声をかけてくれた新ちゃん!出水くんと澄晴くんがダメなら新ちゃんしかいないね!


「あーあ…」
「辻ちゃんドンマイ」
「は?」
「さあ!行こうか!たぶんもうすぐあそこの廊下通るから!…あ!いた!よし行くよ新ちゃん!」
「え、ちょ…っ」


戸惑う新ちゃんの腕を引っ張って私は二宮さんの後をつけた。


「…何であそこ通るって分かったんですかね」
「もうストーカーだからじゃない?」
「それ本気で笑えないです…」


なんか後ろで聞こえた気がするけど、二宮さんを見失う訳にはいかないからね!気にしてられない!


「あの、先輩…何で俺まで二宮さんの後をつけてるんですか」
「あの2人が来てくれないからだよ!だから新ちゃん!一緒に二宮さんの好きなもの調べてプレゼントしよう!」
「…調べるためにつけてるんですか…バレたらまた怒られますよ?」
「バレる前提で考えちゃダメだよ!ほらほら、隠密の任務だってあるわけだしね!」
「はあ…まあ、そうですけど…」


何だかんだ言いながら大人しく一緒に来てくれる新ちゃん本当に良い子!クールな顔して優しいんだから!

ってちょっと新ちゃんににまにましてたら二宮さんを見失った!


「あれ!?二宮さんどこに行っちゃった!?」
「俺がなんだ」
「ひゃっ!?」


突然後ろから声をかけられて心臓出るかと思った…!
ん?ていうか今の声って!


「二宮さん!」
「だから何だ」

不機嫌な二宮さんに遭遇した。え、なんで!私もたちの前を歩いてたはずなのに!


「尾行するならもっと気配を消せ。丸分かりだぞ」
「二宮さんへの大好きオーラが伝わっちゃったんですね!でも大好きオーラを消すなんて無理です!」
「そんなオーラ感じてねぇよ。辻、お前もだ」
「え!?なに!新ちゃんってば私のライバルだったの!?」
「お前は少し黙ってろ」


キッと睨まれて黙る。
……鋭い視線がかっこいい…!


「…すみません」
「ねぇねぇ二宮さん!」
「………何だ」


新ちゃんが謝ることないのになあ。
黙れって言われたけど口を開いたら二宮さん返事してくれた!やっぱ照れ屋なんだね!


「二宮さんの欲しいもの教えて下さい!」
「…またそれか」
「それを知りたくて尾行してたんですから!」
「知りたくて尾行に繋がるのかお前は…」
「教えて下さいよ!二宮さん!」
「だからそんなもんねぇって……」


二宮さんがピタリと止まった。
そしてにやりと笑う。
にやりと……にやりと…!!


「そうだな。俺に尾行を気付かれないくらい優秀な部下なら欲しいかもな」


二宮さんに尾行を気付かれないくらいの優秀な部下……


「…だってさ。新ちゃん頑張らないと!」
「………」
「……俺、ですか」
「澄晴くんは尾行向きじゃないと思うからやっぱ新ちゃんだよ!」
「……えっと…」


なんか新ちゃんが気まずそうにしてる。
ああ!そっか!二宮さん凄い隊長だって分かってるから自信がないんだね!


「大丈夫だよ新ちゃん!私も手伝ってあげるから!」
「はあ、ありがとうございます…」
「新ちゃんが二宮さんを超える優秀な部下になったら私が育てたーって二宮さんにプレゼント出来る!だから頑張ろうね!」
「………はい」
「もう少し待ってて下さい二宮さん!すぐに二宮さんにプレゼントを…」
「………」
「二宮さん?」


あ、あれ?
なんかさっきから凄く不機嫌そうなんだけど……何でだろう?


「………っち」
「あ、待って下さい二宮さーん!」
「うるせぇ来るな」
「そんなこと言って!構ってほしい舌打ちだったのくらい分かってますよ!」
「…そうか。なら生身で対戦ブース入れ」
「……ん?」
「行くぞ」
「え、ちょ、待って下さい待って下さい!模擬戦は大歓迎ですけど生身でって……ちょ、二宮さん!?」




作戦5の結果
プレゼントは渡せず、二宮さんの意図も理解出来ず失敗。


(二宮さんは先輩を見て言ってたのに…)
(…あの人馬鹿だから)
(あいつ自分はもう二宮さんのものだーって言ってたから二宮さんの意図を理解出来なかったんでしょ。馬鹿だから)
(馬鹿ですね…)
(ところで、何で辻ちゃんが結果書いてるの?)
(ああ、先輩はたぶん書ける状態で戻って来れないと思ったので)
(ん?)
(二宮さんの八つ当たりです)
((ああ))




→作戦6!

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