▽SAO×黒バス1

あのデスゲームに巻き込まれて、2年。高尾和成は最年少プレイヤーにも関わらず最前線で戦い、攻略組のトッププレイヤーに君臨した。高尾があそこまで我武者羅に戦えたのは側にいた相棒、キリトのお陰だと声を大にして言える。

初めて茅場の声を聞いたあの日、恐怖を覚えたのをいまでも覚えている。ただ生き残るためにキリトの側にいたことも。モンスターと戦うことも怖かった。HPバーが1でも減れば、心臓が嫌な音を立てる。死なんて、10歳の少年が考えられる物ではないだろう。

そんな幼い高尾を助けてくれたのは、心が死なないよう支えてくれたのはキリトやアスナ、ユイ、エギル、クライン、リズ、シリカ…沢山の仲間たちだった。

だから、それを否定されることは何より受け入れられない。高尾の目の前にいる、彼の母は高尾の全てを否定する存在である。それは中学生である高尾にとって敵としか認識できないものだった。

***
「和くん、はいココア」
「ありがとー、アス姉」

こくりと、アス姉が入れてくれたココアを飲む。口の中いっぱいに広がる甘さは、部活で疲れた体を癒してくれる。

俺は中学卒業後、VRMMO全てを否定する母から逃げ出した。そんな俺を助けてくれたのはSAO時代からずっと仲良くしてくれているアス姉だった。せっかく恋人であるカズ兄と念願の二人暮らしが出来る筈だったのに、問題を抱えた俺が転がり込んできたのだ。思えば面倒だと叩き出されてもおかしくないはずなのに、今こうしてカズ兄、アス姉、俺、ユイと四人で暮らしているのは奇跡としか言えない。そんなことを言えば馬鹿なこと言わないで、と最強夫婦+カーディナルが誇る高性能AIが怒り散らすことは明確だけど。

『お兄ちゃん!今日もバスケしてきたんですか?』
「そーだよ、ユイ。レギュラーに選ばれたからね、頑張らなきゃ!」
「和くんは頑張り屋さんだからね。でも、あんまり無理しないでね?」
『そーですよ、お兄ちゃんすーぐ無茶しちゃうんですから!…でも、私もお兄ちゃんがバスケしてるとこ見てみたいです!』
「なら今度の練習試合アス姉とかカズ兄とかと一緒に見に来てよ!ユイが応援してくれるなら俺頑張っちゃうよー!」

けらけらと笑う俺の頭をアス姉が撫でてくれる。俺の姉であり母であるような存在のアス姉に撫でられると、擽ったいような、暖かいような感覚に満たされる。

アス姉に抱き着くそのタイミングでリビングの扉が開く。ぎゅうぎゅう抱きしめ合う俺たちを見て、カズ兄はにやりと笑い俺たちを纏めて抱きしめる。

「俺のいない間にいちゃいちゃするとは許せん!」
「あはははっ、やだー、カズ兄重いー!おかえりー!」
「もー、和人くん。おかえりなさい」
『ふふっ、おかえりなさいパパ』
「ただいま、明日菜、和、ユイ」

おかえり、ただいまをした後は頬に柔らかい感触。家族になったその日に決まった約束。俺もカズ兄とアス姉の頬に口付けを落として、四人で笑いあう。

「和人くん、今度の日曜日は予定ある?」
「んー、確かなかったはずだけど?なにかあった?」
「和くんのね、練習試合があるんだって。ユイちゃんも私も見に行きたいし、お弁当作って応援に行かない?なんならリズたちも誘って!」
「お、いいな。クラインたちも誘っておくよ」
『みんなでお兄ちゃんの勇姿を見ましょうね!』
「じゃぁ、張り切らなくちゃならないじゃん!アス姉、俺激辛サンドイッチ食べたい!」
「はいはい。その代わりちゃんと勝ってね!」
「もちろん!」

***
で、キリトたち全員が応援に来てみゃーじ先輩たちに交友関係どうなってるか疑問に持たられたらいいよ。笑い上戸でもなくて、自然に笑って甘える高尾を見て悔しがればいいよ。なんならみんなの前でキリトを俺の相棒って、紹介して真ちゃんが凹めば面白いと思うよ。あとあとみんなの前でけーちゃん(シリカ)の手作り弁当もらってデレデレになったらいいよ!




2016/02/12 19:51(0)


prev | next





メッセージありがとう!!



prev | next




コメントしますか?

名前:
内容:
最大1000文字まで
pass:
下記の画像に表示されている数字を、上記フォームに入力





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -