Novel | ナノ

運命の青いNEXT(1)

【T&B】運命の青いNEXT Twitterお題派生作品【若者サンド】


プロローグ

 その力は人類一人一人に発現する可能性があり、恐らくほぼ全ての人間がその因子を内在させている。
しかしながらその因子が発現しNEXTになるかどうかは誰にも判らない。その力は初めて生まれたその瞬間から爆発的に進化し続け今ではもはや数えることも予測する事すらも難しい多彩なものとなっていた。 目覚めた本人ですらなんの力に目覚めたのか判らないなんてことは日常茶飯事で、その中でも特に物理的な影響力が皆無に等しいNEXTの場合は、自分自身がNEXTだと気づかないままその力を発揮し続けるという馬鹿げた事も良くある話なのである。更に今ひとつ、自分がNEXTであることは自覚しつつもその力が本来なんなのか正しく把握しないまま使い続ける、或いは自分自身で誤解したまま発揮し続けるということも有り得るのだった。
 そしてこの事件はその自分の力に無自覚というより後者――自分の力を激しく誤解したまま使い続けた者によって引き起こされた。

 彼はシュテルンビルトにおいて、かっぱらいやスリを行い生計を立てていたかなり最低な人種の一人でもあった。しかし辛うじて人殺しだけはしていなかった。それもこれも彼の持つNEXTのおかげではあったが、彼自身自分の能力を正しく理解してはいなかった。その日まで彼は自分の能力は他者を暫くの間金縛りにできる力だと思い込んでいたからである。
しかし、実は彼のNEXTはそんな単純なものではなかった。

 後々バーナビーは思うのだが、虎徹もかつて自分の能力がなんなのか良く判らず非常にコントロールに苦労したと言っていたのに、どうしてあの時思い至らなかったのだろうということ。Five minutes One hundred powerは世界中で初めて、事実上虎徹によってその存在が確認された能力である。NEXTの能力細分化が進んだ第二世代後期の話だ。バーナビー自身の能力も実際完全に特定されたのは6歳以降の話で、それもこれも虎徹という先人が居たからだったのだ。サイコ系、パワー系NEXTたちの細分化が特に進んでいて余りにも多様化しすぎていて同一能力者はほぼいないといっても過言ではない昨今、虎徹とバーナビーはある意味かなりレアなケースでもあった。そう、自分自身でも判らない特定しにくい能力に目覚める事はそんなに珍しいことではないのだ。
だからこそ、NEXTはNEXTを恐れる。ほぼなんでもありな状態になっているその能力の怖さを誰よりも知っているからだ。

「バニー、おいっ、ブルーローズ!?」

 虎徹さんが迂闊なのは重々承知していた筈なのに、ああ、しくった。
気をつけてください、能力が未だに謎のNEXTなんですから下手に近づかないで。サイコ系はやっかいなんですよ! 絶対無理しないでってあれ程言ったのに・・・。

虎徹がワイヤーで相手をぐるぐる巻きにし「うっしゃー! 確保!」と叫んだ瞬間バーナビーは強盗犯の体が輝くのを見てしまった。
ぎょっとなる虎徹と犯人の間に咄嗟に割り込んでしまったのは本当に自分でも良く判らないし、迂闊だとは思う。でも体が動いてしまったのだからしょうがないと自分だけならそう諦め切れたのに。
そこに多分同じ理由で咄嗟に動いてしまったのだろうブルーローズも割り込んできたものだから、バーナビーの驚愕は計り知れなかった。
勿論虎徹自身もどうしてそのNEXTに発動する暇を与えてしまったのか、ワイヤーアタックで昏倒させるでもなにか方法があったのではないかと後悔していた。

 かくして彼のNEXTは発動した。
虎徹を庇って割り込んだバーナビーとカリーナはその瞬間意識を失い同時に倒れ伏したのだった。


[ 119/282 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
【Novel List TOP】
Site Top
×
「#お仕置き」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -