「…ごめん、俺、答えにくい質問しちゃったな」
 突然謝り出す。別に謝られるようなことはされていないのだが…。
「でもさ、なんかゼロスと会話しててわかったんだ。一緒だって」
「…何がだ」
「俺さ、ずっと悩んでたんだよな。コレットを救うって決めたことは、間違ってなんかないよな、って」
 ただ愚直に、盲目にコレットを救いたいと思っているわけではないようだ。その選択の裏に何があるかを、彼なりに考えているらしい。ゼロスは少しだけロイドを見直した。
「でも、少なくともゼロスが天使になっても、必ずしいなは救おうとする。俺だけが選ぶわけじゃないって、ちょっと安心した」
 コレットと自分を重ね、その傍らにしいなを思い浮かべる。
「……だといいけどな」
 目を閉じて、深く微笑んだ。声が出なくても笑っている自分と、半泣きになっているしいなが想像出来たからだ。
「だから、本人に聞いてみろって」
「聞かねっつの」
「俺が聞いてやろうか?」
「勘弁してくれ」
 ロイドは歯を見せて笑った。ゼロスもつられて笑ってしまった。



 シルヴァラントからの来訪者は底抜けに前向きな奴だった。もしかしたら、と期待出来るようなことを言ってくれる。
 たぶん、シルヴァラントの可愛い神子コレットは助かるだろう。諦める、とか、妥協するという言葉は、きっと奴の辞書には載っていない。
 ロイドの質問はかなり後まで心に突き刺さった。旅に出てすぐに心に残った質問の答えは、旅の終わる直前になるまでは手に入らなかった。



「コレットちゃん、戻れるといいな」
 本心である。コレットのためだけでなく、自分のためでもある。
「俺が必ず助けてみせる」
 素直で、単純で、ちょっと鈍感で、でも人一倍優しいその鳶色の目が、しいなの眼差しとかぶった。
 それが、少し、悔しかった。



 END.

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 If...からかなり過去に遡った話です。ラブくはない…です。
 ロイド君としいなさんが似てるというのは私の持論です。まっすぐなところ、感情的になりがちなところ、鈍いところ、勉学においてちょっとアレなところ…。コレットちゃんとゼロスも似てるところがありますしね。
 この四人の関係が絶妙で大好きです。


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