ボーイズトーク 〜未来の話〜

 女性陣が恋の話に花を咲かせているその平行線上で、男性陣も恋の話に花を咲かせるのが当然…とは言いがたい。しかし、エミルが帰ってきて初の全員集合である。話が盛り上がるのは、それもまた、必然なのだ。
 さて女性陣の中で最も恋ばなを始めたがるのがマルタだとすれば、男性陣で最も色気のある話を好むのは、そう、ゼロスである。

「で、エミルくんはマルタちゃんとどうよ? ちゅーくらいはしたよな?」
 直球である。ベッドに乗ろうとしたエミルは見事にずり落ちた。
「あのですね!」
 珍しく声を荒げて逆ギレしてはみたものの、真っ赤な顔をしていては迫力にかけるのは当然である。
 この家主が自室ではなく皆と共に大部屋を寝所として選んだ時点で、この話の流れになる予想は容易い。過去に経験していたロイドもジーニアスも苦笑いし、基本的に話を振られないリーガルはやや離れた心理的距離から笑顔で見渡している。
「いやあ、だってまたふたりで旅してんだろ? ラブラブなんだろ? あ、エッチまでしちゃった?」
「さすがに怒りますよ…?」
「大丈夫だよエミル。ボクが消し炭にするから」
 さすがに子供の前でする話でもない。リーガルが諌める前に、ジーニアスが笑顔で両手の間に炎の玉を作る。
「タンマタンマ、わかった、俺さまが悪かった!!」
「調子に乗り過ぎだろ、おまえ」
 焦って頭を下げるゼロスに、ロイドがとどめを刺す。ジーニアスは憤慨しながらも炎を消したが、リフィルやしいながいたならば問答無用で黙らせられていただろう。
「まったく。…聞かなかったことにしますよ?」
「はい。すみません」
 ゼロスはベッドの上で正座し、深々と頭を下げた。
「まあ、でも、うまくいってるんだろ?」
 隣のベッドからロイドがエミルに聞く。
「ええ、まあ」
 控え目なエミルの言葉だが、表情から察するに仲良くしていることが汲み取れる。
「ロイドも、あれからコレットと一緒に旅を続けてるんでしょう?」
「ああ」
 にかっと歯を見せて笑う。こちらもうまくいっているようだ。
「しかしよ、ロイドくん、おまえ、そろそろコレットちゃんと結婚とかは考えねーの? もうだいぶ長いこと一緒にいんだろ? もうすぐ二十歳の大台に乗るってのに」
「おまえに言われたくねーよ」
 ロイドは苦笑いした。
「まあ、考えたことが無いとは言わないけどさ、今は旅だらけの毎日だし、もう少し落ち着いてからかなとは思ってるよ」
「へー、ちゃんと考えてるんだ。意外」
 さらっとジーニアスが酷い一言を付け足す。
「あのなあ、一応俺も成長してるんだよ」
「そうだね、やっと九九も覚えたしね」
 はは…とエミルが微妙な笑い声をあげた。
「エミルたちはどうするんだ?」
「えっ、僕たちですか!? いや、僕たちはまだ、そんな…」
 ぶんぶんと両手と頭を振るエミルが、素直に微笑ましい。
「それに、僕の場合、一応姿は人間ですけど、結婚とかになると、いろいろと考えることが山積みで…」
「考えたことはあるのだな」
 リーガルの言葉にエミルが頭をうなだれた。図星らしい。
「まー、それもそうか、精霊と人間が結婚なんて聞いたこともねーしな。でもまあ、姿だけでも人間なわけだし、エミルっていう存在はちゃんとあるわけだし、結婚そのものは可能だろ」
「それはそうでしょうけど…、例えばその、さっきの話じゃないですけど、子どもを、その、つくるとなると、可能なのかと思いますし」
 それこそ前例がないだろう。ゼロスは眉間にしわを寄せて頭を掻く。
「んー? ん〜…、精霊ラタトスクがどこまで人間を模してその姿を作ったかってことだよな。もしなんだったら、精霊研究所のほうに話を通してもいいぜ。そういうことなら、しいなも喜んで協力してくれるだろうし」

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