愛してるも恋してるもない。 只、ひたすらに交じり合いたいだけ。
「──んっ……」 「……っ、きつい、か?」
久しぶりに都合が合った俺達の久しぶり過ぎる逢瀬。 ストレスも欲も溜まった恵介さんは、愛撫もままならず性急に奥を抉ってきた。
「きつい、よ……もともとそういう造りじゃ、ない、し」
理由はそれだけじゃない。 敢えて断らなかったが、俺は少し微熱があった。
「熱いな、カズマ」 「……は、まあ、ね」
押し込まれたそこから吐き出すように息をついて、小さく笑ってみせる。 それだけで、恵介さんは安堵したように笑って応えた。
ああ、どうしてだろう。
昨夜はどこぞの女に突っ込んで、確かに快楽を得ていたのに。 もともと俺は男で、突っ込むことで満たされる生き物である筈なのに。
「……恵介さん」 「何だ?」
脈打つ欲を抑えたまま歪んだ笑みで応える恵介さんを見上げ、目を細めて、懇願した。
「……キスして、」
言い終わらない内に塞がれた唇、貪るように犯される口内。 ふ、と息を吐いては詰めて、満たされては溺れていく艶めかしい暑い舌。 もっともっとと欲しがるのは、果たして体か、それとも。
己の微熱と体内に感じる熱が交ざり合って律動が始まった頃、そこまで考えた思考を放棄した。
視界を擦った左手の薬指に光る指輪が滲んだのは、きっと、微熱の所為。
愛してるも恋してるもない。 只、ひたすらに交じり合いたいだけ。
そこに救いを求める僕ら。
end?
●● 微熱の所為
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