「……」


きみの強く光を放つ瞳に、わたしはただ、何も言えないまま立ち尽くした。
どうしてこんなことに
そんな考えは無駄だ。
これしか本当にないの
そんな考えも無駄だ。
きみは知ってしまったでしょう。
わたしの秘密を、ひどく残忍で残酷な秘密を、知ってしまったでしょう。


「おじ様を殺したのはあなた?」
「……」
「どうして……どうして?」
「……」


どうしてだろうね。
ただ一つ残った、最後の残酷な秘密は知らなくていい。
きみのおじ様がわたしにした愚行など、きみは永遠に知らなくていい。
けがれないで
きみはそのままで
永遠にけがれないで
きみはそのままで、ずっとずっと、永遠にそのままでいて。
二人で過ごした色褪せた畳に、膝をついたきみから滴る綺麗で透明な雫が染み込んでいた。
ずっとずっと、その姿を忘れたくない。
だから──


「死んで」


振り下ろした鉈は、きみを脳天から見事に引き裂いた。

きみと出会えたことはわたしのしあわせだから、


だからずっと、哀しみに暮れてもきみの姿を忘れない。





_20090323

It's my happiness that you could meet you,



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© 楽観的木曜日の女