_20090404


「白馬の王子様が現れないかなあ」


確かにあたしは、そう言ったかもしれない。
いや、実際にそう口にしたんだと思う。
何となく、頭の片隅でそんな場面を覚えていた。
白馬の王子様、女の子なら、誰だって憧れるに決まっている。
例えば、友達に彼氏が出来たとき。
例えば、友達が結婚したとき。
例えば、季節ごとのイベントの前後。
白馬の王子様、女の子なら、誰だって憧れるものだ。


「俺でどうかな?」


白い歯をきらりと輝かせて、目の前の彼は、得意気にそう言った。
顔は悪くない。
身長も確かに高い。
お金も持っているのだろうと思う。
現に、身につけたものは、どう考えても特注品だった。
が、しかし。


「ど、どうかな?って言われても……」


実際に、目の前には白馬に跨がった王子様。
本当の王子様かは、この際問題ではない。
問題なのは、白馬に跨がり、かぼちゃパンツを履いていることだ。


「ごめんなさい」


もう二度と、白馬の王子様とか言いません。

白馬の王子様



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