世界に混沌をもたらした史上最悪最強の魔王。
人々は魔王の強さになす術もなく、
人間界は魔王の支配下に堕ちるしかなかった。
だが、すべての人々が希望を捨てたわけではなかったのだ。
人間界が魔王の支配下に堕とされた1年後、
魔王を倒すべく、1人の勇者が立ち上がった。
その勇者の名はーー。
















「あーあ、まーた負けちゃったね」

『ッ...!』

「どーすんの?また逃げる?」

『お...』




『覚えてろよー!!』と叫びながら魔王の城を後にするのは何回目だろうか。こんなの、真の勇者の姿なんかじゃないのに。やっぱり私は、勇者の器ではなかったんだ。だけど、人々が私に期待をしているんだ。強くならなくては。もっと強く。魔王宮城を倒せるほど、強く。


















『はぁー...』

「また溜め息?」

『ヤス...』

「だから勇者になるのなんかやめとけって言ったじゃないか...」

『だって...皆私に期待してるんだし...』




『だけど魔王宮城があんなに強いなんて...』と言って魔王宮城の顔が頭にチラついてムッと口を尖らせる。なんなんだあいつ?なんであんなに強いんだ?腕力だって、剣術だって、誰にも負けたことのない私が、なんであんな奴に負けるんだ?どんなに戦いを挑んだって勝てやしない。勇者なんて名ばかりじゃないか。無様に負けを認めて"殺せ"と言ったところで一向に私を殺すわけじゃない。きっと、遊ばれているのだ。いや...なんなら私は魔王宮城のただの暇つぶしの相手なんじゃないか?なんて事すら考えてしまう。『くっそ...もう一回だ!』と地面に転がった鍛錬用の木製の剣を手に取って、ヤスに向かって声を張り上げる。ヤスは「えぇ...?まだやるの?もう日暮れだよ?」と下がっていた眉を更に下げながら溜め息混じりに呟いて木製の剣を構えた。瞬間、ヤスが地面に身体を伏せてカヒュッと苦しそうに息を吐く。訳もわからないまま『ヤス!?』とヤスの近くに駆け寄ろうとした瞬間、ゾワッと全身の毛が逆立つ様な嫌な感覚が駆け巡る。この気配は...とあたりをキョロキョロ見渡すと、ヤスと私の間に割り入る様にして、魔王宮城が現れたのだ。




『...ッ!魔王宮城!!ヤスに...ヤスに何をした!?』

「いやー、最近勇者くんがなかなか会いにきてくれないからさ...俺の方からきちゃったじゃん」

『なっ...!?だからってヤスは関係ないだろ...!?』

「ヤス...?あぁ...コレ?人間って重力魔法に耐えられないんだっけ」

「ぐっ...あ"ッ!」

『ヤス...!やめろ!!』

「何?そんなに大事な人なんだ?」




「俺よりも?」と片眉を上げて嘴を上げた魔王宮城に向かって『ヤスを離せ!』と声を張り上げながら木製の剣を振り下ろすと、魔王宮城の首元に木製の剣が当たる感覚。だけどこんな剣、伝説の剣でも刃が立たない魔王宮城に効くわけもなくて、魔王宮城が首元に当てられた木製の剣を掴んだと思ったら、凄い力で引き寄せられる。踵に体重をかけて抵抗してみても、徐々に私の身体が魔王宮城に近づいて剣を握っていた手を掴まれた。そのままスルッと魔王宮城の手が私の手首に降りてきて、ギュッと力強く手首を掴まれると、指先の力が抜けて私の手から木製の剣が滑り落ちていく。『離せ!』と言って魔王宮城の腹目掛けて拳を打つと、思いがけない事に見事命中。もう1発、なんて拳に力を入れて腕を引いた瞬間、パシッと私の拳が魔王宮城の片手で掴まれる。『はな、せよ!』と言って魔王宮城を睨みつけると、魔王宮城はククッと喉を鳴らして小さく笑った後「勇者のくせに何も出来ねぇじゃん」と言って見下す様に私を見つめた。その瞳が、やけに黒くて、日暮れで夕陽がさしていても反射する事はなくて、光が吸い込まれる様で何故だがゾッと背筋に寒気が走っていく。なんなんだよ、こいつ。と眉を寄せて魔王宮城を見つめていると「花子、はやく...逃げ...」なんてヤスの声がして我に返った。声がする方へ視線を移すとヤスが魔王宮城の足を掴んでいて"逃げろ"ともう一度口を動かした。けれど、魔王宮城が足元へ視線を動かした瞬間とっさに"ヤスが死ぬ"そう思ったのだ。思わず『なっ...なんでもする!なんでもするからヤスを殺さないでくれ!!』そう、叫んでいた。途端に魔王宮城が「なんでも...?」とポツリと呟いて私に視線を戻すと、再び「なんでも?」なんて言って口角を上げていく。射抜く様な視線に、ごくりと生唾を飲み込んで『あ、あぁ...だから...ヤスは殺さないでくれ...』と言って眉を寄せると、魔王宮城はククッと喉を鳴らしながら小さく笑って「じゃあ、勇者ん家行きてぇな」と訳のわからない事を呟いた。




『は...?』

「だって俺ら友達だろ?』

『とっ...友達なんかじゃ...!』

「トモダチ、だよな?」

『...ッ!』




グッと魔王宮城が私の手首を掴んでいた手を捻りながら"トモダチ、だよな?"と言って真顔で俺を見つめてくるから、少しでも否定したら何をさせるか分かったもんじゃない。と眉を寄せて『わ、かった...そのかわり、誰かを殺したりしないでくれ』と捻られた手首が痛むのを奥歯を噛んで我慢しながら魔王宮城に伝えると、魔王宮城は「わーったよ」と言って私の手首から手を離した。その後、ヤスの重力魔法が解除された事を確認して、私の家に急いで向かう。他の人に同じ事なんてされたら溜まったもんじゃない。自分の家に急ぐ私の後を、なんだか上機嫌でついてくる魔王宮城にヒヤヒヤしながら足を急がせた。




















「へぇ、ここが勇者ん家か...思ったよりせめぇな」

『そりゃ...一人暮らしだし...』

「んで?」

『?』

「どこでシコってんの?」

『...は?シ、コ...?シコッ!?ばっ...!?するわけないだろ!』




家の中に招き入れた途端に、魔王宮城は家の中をキョロッと見回してそう一言呟いた。意味を理解するのに少しかかって、意味が分かった瞬間に火が出そうな程顔が熱くなってくる。な、何言ってんだ一体。と少し焦りつつも『お茶入れるから適当に座っとけ』と言って上着を脱いでキッチンに向かう。ヤカンの水を入れていると「洗濯物干してるけど中入れるー?」なんて声が聞こえてきて、は?と頭にはてなを浮かべつつも『入れなくていい!』と声を荒げた。や、だって洗濯物って、おま。ヤカンを置いてから声のする方へ走っていくと、魔王宮城が私の下着を手に取って持っているではないか。マジでコイツ。勝手に人のものを手に取ってくる怒りやら恥ずかしいやら何やらで『うわあああ!!!』と声を荒げながら魔王宮城が手にした自分の下着を取り返そうとタックルするも、魔王宮城に華麗に避けられる。床に転んだ私を見下げて「何してんの?」と声を掛けてくる魔王宮城だが、お前が何してんだ。サッと魔王宮城の手から下着を奪い返して、すぐさま着ている服の中に隠し込む。魔王宮城は眉を寄せて「今...の女物じゃなかった?趣味?」と何かに気づいた様にハッとしながら言うもんだから『ちっ...げーよ!!』と熱くなる顔と頭を誤魔化すように声を張り上げた。




「いや、良いって良いって。人それぞれ好みがあるんだしさ」

『だっ、から...!ちげぇよ!』

「じゃあ何用だよ。シコり用じゃねぇよな?」

『おまっ...あのなぁ...さっきからシコシコ言ってますけどねぇ!?女だからな!?』

「...オンナ?誰が?」

『私ですぅ!勇者してるけど女ですぅ!!』

「...は?」

『つーか下着見られたら男女関係なく恥ずかしいに決まってんだろ!?』




バッファロー顔負けの鼻息でフーフー言っていると、魔王宮城は何を思ったのか腹を抱えて大笑いである。なんだよ。何笑ってんだよ。恥ずかしいだろ普通。と笑われていることも恥ずかしくてさらに顔が熱くなってくる。魔王宮城は「んだよ。俺が馬鹿みてぇじゃん」と独り言の様に呟いて私の視線に合わせる様にしゃがみ込んで私の腕を掴むと「ベッド、行こっか」と言ってニコリと笑った。その意味が分からなくて『は?』と口から自然と漏れる。魔王宮城は「そこ寝室?」と言って寝室の扉を指さして、私の返事を待たずに立ち上がると同時に掴んでいた腕を引いて私を無理やり立たせて歩き出した。ちょ、は?なに?『ちょっ、待て待て待て!なに?なんでベッド?』と困惑している私をよそに、寝室の扉を開けた魔王宮城が力任せに私の腕を引きながら、私をベッドへと放り投げる。強引に引かれたせいで痛んだ肩をさすりながら『なんなんだよ...』と眉を寄せて魔王宮城へ視線を移すと、魔王宮城は上着を乱雑に床に脱ぎ捨ててから「花子ちゃん?だっけ?」と片眉を上げながら小さく笑った。『そう...だけど?』と言ってネクタイを緩める魔王宮城を不安そうに見つめていると、魔王宮城がベッドに近寄りながら「脱いで」と言って解いたネクタイを床へと放り投げていく。




『は...?』

「さっきなんでもするって、言ってたよな?』

『...言った、けど...』

「じゃあ脱いで、全部」

『は...なんで...?』




魔王宮城がベッドに膝をついて乗ってきたせいで、ギシッとベッドのスプリングが軋んだ音を鳴らしていく。先ほどの様な...ヤスが死ぬだとか、そう言った時の緊張感ではなくて、言葉で言い表せない感情のせいかバクバクと煩く鳴り響いた心臓の音と、魔王宮城が私に近づいてきたせいで擦れるシーツの音がやけに耳についた。魔王宮城から距離を取る様に身体を引こうと後ろに手を伸ばすと、魔王宮城の手が私の足首を軽く掴んだ。「なんでも、すんだろ?」と言って魔王宮城が私の腰横に手を置くと、再びギシッとベッドのスプリングが軋んだ音が、私達しかいない静かな部屋に鳴り響く。これは冗談で言っている訳ではない、本気だ。と分かっているのに動けなくなって、魔王宮城の瞳に、ゴクリと生唾を飲み込む私の喉の動きだとか、揺れる瞳の動きだとか、何度も繰り返す瞬きだとか、全てを見られている気がして動けなくなる。「脱げよ」と徐々に近づいてくる魔王宮城の瞳から何故だか目が逸らせなくて、催眠にでもかかった様に身体が動かせないまま、魔王宮城の唇が私の唇に近づいた。魔王宮城の唇が私の唇に当たるスレスレで、はぁ、っと口を開いた時の熱い吐息が私の唇に微かに当たる。これが恐怖なのか分からなくて、ゴクリ、と私がゆっくりと生唾を飲み込んだ瞬間、魔王宮城の唇が私の唇を優しく塞いだ。その瞬間、キスをされているんだと今更ながらに自覚して、思わず魔王宮城を殴ろうと拳を振り上げたけれど、魔王宮城に手首を掴まれてしまえば腕なんか動かない。ゆっくりと唾液混じりのリップ音が鳴り響いて唇が離れると、魔王宮城が私の唇を優しく舌でなぞっていく。ゾクッと今まで感じたことない何かが私の背筋に走って『やめっ...』と小さく口を開いた瞬間、魔王宮城の舌が私の口内へと滑り込んだ。ヌルッとした自分の舌ではない感覚とやけに熱い魔王宮城の舌が、私の口内で蠢いていく。頬の内側に魔王宮城の舌が這って、気持ち悪い筈なのに動けない。なんだこれ、なんだ。と頭では理解できない事ばかり私の身体に起こっているようで、魔王宮城の舌が私の舌をなぞる感覚にゾクッと身震いして、魔王宮城の手に掴まれて動けないと分かっているのに腕に力を込めたと同時に、ベッドに置き去りになっていた手で魔王宮城の胸を強く押した。けれどビクともしないし、なんなら魔王宮城の舌は更に口の奥深くまで入ってくる様な感覚に戸惑って顔を逸らそうとすると、私の足首を掴んでいた魔王宮城の手が足首から離れて私の後頭部を強く押さえる。後頭部に収まりきらなかった魔王宮城の指先が流れる様に頸をなぞると、再びゾクッと何かが走った。私よりも分厚い舌に口内が犯されていると言う背徳感にも似た様な感覚が嫌で堪らないのに、魔王宮城の舌が私の上顎を優しくなぞった瞬間、ビクッと腰が震えて私の鼻から息が抜けていく。何度も何度も上顎を舌先でなぞられる度に緩く開いた口元から互いの唾液が絡んだ様な水音が鳴り響いて、魔王宮城の舌が私の舌裏に移動して何度も舌裏を優しくなぞられると何故だがジワリと視界が滲んだ。何度か薄く瞬きを繰り返すと、魔王宮城の唇がジュルッと唾液を吸う音と共にゆっくりと離れて、魔王宮城が瞼を薄く持ち上げた瞬間バチッと私の瞳と魔王宮城の視線が絡まった。「あー...すげぇ...」といつもの声とは違う魔王宮城の艶っぽい様な声が聞こえて「ベロチュー気持ちいいね?」と笑み混じりの声で言ってから、再び私の唇を塞いでいく。魔王宮城が言った"気持ちいい"の言葉に戸惑いながら、魔王宮城の舌が再び私の上顎をなぞると身体が何故だか熱くなって、自分から漏れる息がまるで自分じゃないみたいだ。怖くなって魔王宮城の胸を押していた手で魔王宮城の服を掴むと、魔王宮城の舌先が私の舌先をチロッと舐めて、絡め取る様に私の舌を拾い上げた。別の生き物の様に蠢く魔王宮城の舌が動く度に私の舌がピクリと動いて、同時に腰がビクついていく。この感覚がなんなのか分からないまま、後頭部から魔王宮城の手が離れると、堪らず逃げる様に顔を逸らした。途端に魔王宮城の熱い吐息が私の耳にかかって思わず肩をすくめると、魔王宮城が「花子ちゃんすげぇ敏感」と囁きながら私の耳の輪郭を舌でなぞる。『やっ』と今更ながら抵抗をしてみせるけれど、魔王宮城の舌が耳の中に入り込んだ瞬間驚いて身動きが取れなくなった。クチュッと聞こえた水音が、全身に鳴り響いているみたいで怖いのにゾクゾクと身震いするような何かが私の身体を駆け抜ける。『ッ...』と耐える様に下唇を軽く噛むと、耳元で「これで感じるって...もう性器じゃん」と熱い吐息混じりに魔王宮城の声が聞こえた。『違っ...』と否定してみても魔王宮城の舌が耳をなぞると自分の意思とは関係なく、すくませた肩が勝手に震える。ダイレクトに鼓膜を震わせる魔王宮城の熱い吐息が、鳴り響く卑猥な水音が、私の身体を熱くさせて、時折聞こえる「可愛い」なんて言ってくる魔王宮城の言葉にゾクッとして瞼を強く閉じると、魔王宮城の手が私の服の裾から入り込む。『な、にすっ!』と思わず声を荒げるけれど、魔王宮城の手が止まることはない。背中をなぞる様に魔王宮城の指が登ってきて、触れるか触れないかのその指先の動きにゾクッと再び何かが走る。『やめっ、』と震える身体を誤魔化す様に言ってから掴まれた腕に力を込めるけれど、魔王宮城が私の耳の中に再び舌を入れ込んでくると『あッ...』と口から勝手に声が漏れていく。徐々に背中をなぞっている魔王宮城の指が上へと登ってくると、魔王宮城は何かを探す様に「ん?」と言って何度か私の背中に指を走らせる。しばらく黙った後に「え、花子ちゃんさ...ノーブラ、じゃね?」と私の耳から舌を離して私の顔を覗き込んできた魔王宮城の顔が何故だか見れなくて、視線を逸らしたまま『そーだけど...?』と言ってから下唇を軽く噛んだ。魔王宮城は一瞬固まって「まじでさー、なんなの?」と言ってから私の背中から手を離すと、その手で自分の顔を覆いながらはぁーっと長い溜め息を一度吐いた。




「なに?さっきのヤス?ってやつとセックスしてたって事?」

『なっ...!?そん、なわけねーだろ!』

「じゃあなんでノーブラ?」

『は...?鍛錬中動きにくいし...』

「あー...じゃあ俺と戦ってる時も鎧の下は...ノーブラだったんだ?」

『...?そう、だな...?』




私が答えると再び魔王宮城は、はぁーっと長い溜め息を吐いて、私の手首を掴んでいた手を離すと、ドサッと私をベッドへと押し倒した。『なんだよ!?』と声を荒げると魔王宮城は私の顔横に手を置いたかと思えば、私の唇に唇を押し当てる。混乱しつつも、何故だか魔王宮城の舌を受け入れるように口をおずおずと小さく開くと魔王宮城の舌が遠慮なく私の口内に滑り込む。先ほどよりも熱く感じる魔王宮城の柔らかい舌が私の舌をなぞると再びゾクリと何かが走った。縋る様に伸ばした手で魔王宮城の服を掴むと、魔王宮城の手が服の上から私の胸の突起をなぞる。ビクッと肩をビクつかせながら魔王宮城の唇から逃げる様に顔を逸らして『なっ...』と声を漏らすと、魔王宮城は私を見つめたまま「服の上からでも分かるくらい立ってますけど」と何故だか不服そうに私の胸の突起を再び手で軽く擦った。そのせいで服の生地が私の胸の突起に擦れて、なんとも言えない感覚が私を襲う。ふっ、と熱い吐息が漏れた瞬間に魔王宮城が「服が擦れたら、思い出しちゃうくらい此処弄ろうか?」と意地悪そうに笑いながら私の返事も待たずに再び唇を塞いでいく。ヌルッと口内へ滑り込んだ魔王宮城の舌で私の上顎を優しくなぞられると、腰が勝手にビクついて鼻から抜ける自分ではない様な声が部屋に響いた。それと同時に何度も服の上から胸の突起を擦られて、頭がおかしくなりそうになる。ジュルッと時折唾液を吸い上げる様な音が塞がれた口元から聞こえて、反射的に魔王宮城の服を掴む手に力を込めると、魔王宮城が私の胸の突起を服の上から軽く摘んだ。ビクンッと腰が震えて『あっ』と私の甘い声が塞がれている筈の口から自然と漏れた。え、今の、声...。と考えれば考えるほど羞恥心が私を責めて、頭と顔が熱くなってくる。魔王宮城は唇を軽く離してから「へへっ、可愛いー」と小さく笑って再び私の胸の突起を軽く摘む。ギュッと先ほどよりも強く摘まれると私の声が小さく漏れて、堪らなくなって下唇を噛むと魔王宮城の舌が私の唇を優しくなぞった。時折魔王宮城の唇で軽く吸い上げられていく私の唇を解く様に、魔王宮城は何度も舌で舐めては私の唇に優しく吸い付く。荒くなっていく私の呼吸が熱に浮かされている様に熱くなって、漏れる吐息と声がとめどなく漏れると、不意に魔王宮城の手が胸の突起から離れて服の裾から直接私の肌を軽くなぞった。魔王宮城の指が徐々に胸へと移動して、直接触られてしまったらどうなるのか、なんて期待しているのか私の心臓がバクバクと煩く脈を打つ。私の唇の割れ目を舌でなぞった魔王宮城が「すげー可愛い」と再び呟くと同時に漏れた吐息が私の口元に軽くかかった。上気したような瞳で私の瞳を見つめる魔王宮城の瞳を見ていられなくて瞼を閉じると、胸の突起の周りに魔王宮城の指が触れていく。『んっ』と声が漏れた事を合図に魔王宮城の唇が私の唇を優しく塞いで、私の口内に魔王宮城の舌が入り込む。あ、また...と期待する様におずおずと奥に誘い込む様に口を軽く開けると、魔王宮城の舌が私の舌を絡め取った。ジュルッと時折聞こえる唾液が混じる様な音が部屋に響くと恥ずかしくて再び魔王宮城の服を掴んでいた手に力を込める。「ハッ...えろ」とボソリと聞こえた魔王宮城の言葉にカァッと顔が熱くなって『ちがっ』と否定的な言葉を口にすると胸の突起の周りをなぞっていた手が直接私の胸の突起を摘んだ。ピリッと身体中に電流が走った様な、痛みとは違う感覚に戸惑いながら声を漏らすと、私の声を吸い上げる様に魔王宮城が私の唇に吸い付いて、私の舌先を舌でなぞった。指の腹で胸の突起を擦られて、摘まれて、口内を舌で犯されて、頭の中まで魔王宮城に支配されている様な、なのに、嫌ではないような、なんとも言えない感情と感覚が怖くなるのに、私の身体にはゾクッと何かが走っていく。




『やっ...あ、っ...』

「なーに?まだ下触ってねぇのにすげーじゃん。ビクンビクンって...」

『ちがっ...ッ...』

「違う?ベロチューも乳首も気持ち良くて、声出ちゃってんのに?」

『おまっ、えが...変な触り方するか、ら...やっ!』

「あのさぁ...」




「煽ってんの?」そう言って真っ直ぐに私を見つめる魔王宮城の瞳を左右の目で追いかけて、下唇を軽く噛むと、私の顔横に置かれた魔王宮城の手がするりと私の下腹部へ降りていく。『やめ!』っと声を荒げると同時に魔王宮城の唇で唇を塞がれて、胸の突起が魔王宮城の指で擦られる。ゆっくりとズボンのウエストから入り込んだ魔王宮城の手に意識すればするほど、魔王宮城が触れたところから熱を帯びているみたいで、私の中の何かが疼いた。ジュッと水音を含んだリップ音が聞こえて再び口を軽く開くと、魔王宮城が薄く瞼を持ち上げたせいで見えた熱い瞳が私を捉える。ドキッと心臓が何かに掴まれた様に苦しくなって、魔王宮城の瞳から、瞳が逸らせない。徐々に下がっていく魔王宮城の指が下着のゴムに引っ掛けられると、焦った様に『まっ...ッ、ふぅっ...』と声を荒げた。けれど口を開いたせいで魔王宮城の舌がズルッと口内に滑り込んで、私の上顎が魔王宮城の舌先で何度もなぞられていく。魔王宮城の指先が私の胸の突起を引っ掻く様に擦ってくるとゾクリと背中に何かが走って私の中で何かが溢れる。同時に下着のゴムに引っ掛けられていた魔王宮城の指が、私の、私の大事な...と、こに...。ごくりと生唾を飲み込もうと喉を動かすと、ヌルッと滑る様に魔王宮城の指先が私の秘部の割れ目をなぞった。途端に魔王宮城が私の唇から唇を離して「やっぱ、ベロチューも乳首も気持ち良かったんじゃん」と言って意地悪そうな笑みを浮かべて私を見つめていた目を細めながら魔王宮城が再び私の秘部の割れ目を指でなぞる。クチュッと卑猥な水音が小さく聞こえるのと同時に、私の顔と頭が一気に熱くなって『ち、が...』と再び否定する言葉を口にするのに、魔王宮城は何度も秘部の割れ目を指でなぞりながら「何がちげぇの?」と言ってわざと水音を出す様に何度も何度も、指を動かす。「花子ちゃん、ナニが?ちげぇの?」と私を追い詰める様に言ってから、愛液で濡れた魔王の指先が私の秘部の突起に触れると、私の口から自分ではない様な甘い声が自然と漏れた。「んな声出してんのに気持ち良くねぇんだ?」と言って何度も秘部の突起を指でなぞる魔王宮城の顔が、涙がじわりと滲んだせいで上手く見えなくて、私の甘い声が止めどなく漏れ出ていく。




『あっ...っ、やぁ...』

「フッ...嫌?」

『...ッ...あっ、ぅ....だ、め...』

「んー?嫌でダメなの?」

『やっ、あ、あっ...そこ...も、や...あッ...』

「えー?へへ、此処やだ?」

『やっ、やぁっ...あっ、あっ...ッ!』

「嫌だっつーわりに、入口ヒクヒクしてんのバレてるよ?腰も動いちゃって...」




「すげーエロいじゃん」と言いながら私を見つめる魔王宮城の熱っぽい瞳が私の思考を鈍らせているみたいで、じわりと滲んだ視界で魔王宮城を見つめ返すと、胸の突起がギュッと摘まれる。ビクッと腰を震わせながら甘い声を漏らすと魔王宮城の唇が私の唇を優しく塞いだ。執拗に秘部の突起を指で擦られる感覚に頭の中まで溶けそうで、私の唇の割れ目をなぞる魔王宮城の舌が、微かにかかった魔王宮城の熱を帯びた吐息が、私の名前を呼ぶ魔王宮城の少し掠れた様な声が、滲んだ視界で上手く見えない筈なのに私を見つめる熱っぽい瞳が、私の身体を熱らせる。魔王宮城が指で胸の突起を押しつぶす様に擦ると同時にゾクゾクッと何かが込み上げてきて、何かが弾けそうで怖くなる。奥歯をグッと噛んで我慢していると魔王宮城が私の唇から唇を離して「ちゃんと息して」と諭す様な優しい口調で囁いた。そ、んなこと言われても。と思いながら『無理だ』と途切れ途切れに呟くと、魔王宮城が「大丈夫だから、イッて」と再び優しく囁きながら私の秘部の突起を擦る。秘部の突起を擦られる度に下腹部から聞こえる水音が増している様な気がして瞼を瞑ると、魔王宮城の熱い吐息が顔にかかって、ゾクッと再び私の背中に何かが走り抜けていく。途端に弾けそうな、昇ってくる様な何かが怖くて魔王宮城の服を掴んでいた手に力を込めた瞬間「イッて?」と魔王宮城の声がして、電気が走り抜けた様な感覚と、頭の中で何かが弾けた感覚が身体中を駆け巡って、私の声が止めどなく溢れ出た。ビクンッと身体が強張って何かが弾けた後、一瞬で身体がだるくなる。全力疾走した様な息切れと、目の奥でチカチカと蛍光灯が光った様な不思議な感覚がして、瞬きをしているのに焦点が合わなくなる。魔王宮城の服を握りしめながら、はっ、はっ、と呼吸を繰り返していると、魔王宮城が「上手にイけたじゃん」と言って私の唇を優しく塞いだ。何度か軽いリップ音が聞こえて、何度も唇を塞がれているんだと身体では分かっているのに、今何が起きたのか理解ができないまま、身体の力が抜けていく。魔王宮城の指が秘部の突起から離れてズボンから手を抜かれると、"終わったのか...?"とボーッとする頭の中で考えて瞬きを一度ゆっくりとすると、突然私のズボンのウエストと下着を魔王宮城の手が掴んだ。は...?と思っていると有無も言わさず脱がされて『ちょ、待て...!!』と声を荒げると、魔王宮城は「なに?」と眉を寄せて私を見つめた。




『なにって...こっちのセリフだろ!』

「いや...着たままじゃ出来ねーし」

『でき...?で、できるだろ!』

「プッ...いや出来ねーだろ」

『笑うなよ!?それに恥ずかし...』

「いやいや、もう下着まで見た仲じゃん」

『あ、れは!お前が勝手に...!』

「それに俺の指で気持ち良くなってたじゃん。アンッアーンってさ」

『ッ...!!言ってないわ!!』

「あとお前じゃなくて、リョータね」

『リョータ...?』

「そ、次イく時はリョータって言いながらイッてね」

『イッ...?イく時...?』

「...」



私の発言を聞いたあと、魔王宮城は一瞬止まって眉を寄せながら怪訝そうな顔をして見せた。なんだよ。と思いながら私も思わず眉を寄せると、魔王宮城は私のズボンと下着を床に放り投げて「こりゃ、長期戦だな」と訳のわからないことを言って私の下腹部に顔を移動させていく。ちょ、ちょっと待て!と思いながら上半身を起こすと、魔王宮城は私の内腿に手をかけながら私の足を無理やり開かせる。『なっ...!やめろ!』と声を荒げて足を閉じようと力を入れるけれど、魔王宮城の力には敵わなくて、魔王宮城が私の下腹部に顔を埋めていく光景が視界に入った。堪らなくなって両手で顔を覆って『頼むから...やめてくれ...』と消えそうな声で呟くと、魔王宮城は「あー...マジで今すぐぶち込みてぇ」と言いながら私の内腿を掴んでいる手に力を込める。途端に私の秘部の突起に柔かい何かが触れると、驚いて身体が勝手にビクつく。その柔らかい何かの正体が魔王宮城の唇だと気づくと顔から火が出そうなほど熱くなって『やめっ...』と声を漏らすけれど、魔王宮城の唇が私の秘部の突起に吸い付いてくると身体中が痺れた様に動けなくなる。足に力を入れても敵わない、多分殴ろうとしても私の拳はすぐに止められるだろう。なす術もない私はただ黙ったまま、顔を覆っていた手に力を込めることしかできなかった。





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