Chapter 1
ファウストゥス歴256年、ノヴェンベルの月の第17日。
岩塩採掘都市ロダを二分していた皇帝派と教皇派の蜜月が瓦解する。
その直接の契機は、教皇派の代表たるベルンハルド・ヴェッターグレンの他界であるが、同日の、皇帝派の代表たるトビアス・レドルンド襲撃事件より派生した両派の小競り合い――あくまで、控え目に表現するのであれば、ではあるが――が、都市内における両派の分裂を決定づける。
この分裂は、やがて皇帝直轄領を巻きこんだ動きに繋がっていくが、この日は、ふたりの偉人が喪われた日として、ロダ市史に刻まれていくこととなる。
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