◎ 序
「あつい、いたい、あつい、あああああ――!!」
ごうごうと燃え盛る家のなかで火だるまになった女や男は喚きたて、髪を振り乱す。
その身は赤く怪しいほどに燃え、肉が爛れ、崩れ落ちる。
すでに息絶えたものから、床に横たわり燃え盛る家屋の燃料となっていく。
狂気渦巻く燃え盛る家屋の中で、一人歩き回る長い髪の女が居た。
「ひ、ひひひっ、ハハハッ!!!」
乱した着物をずるずるとひきずる。足には打撲のあと、手には松明、長い髪から除く顔はケロイドのように爛れていた。
「みんな、みんなあ……ワタシと同じになればいいのよお!」
狂ったまま笑い、自分にもまた――火を付けた。
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