◎ 28歳
会社が軌道に乗って2年。お見合いの話が舞い込んだ。
一生独身を貫こうと思ったが、懇意にしている会社のお偉いさんの猛プッシュで、結婚することになった。
相手は箱入り娘のようで、のほほんとしているようだった。
申し訳なさそうに、今は会社第一だと、言うと「たまに構ってくださいね」とにっこり笑ってくれた。
この人となら上手くやっていけるかもしれないと思った。
屋敷が古くなっていたのと、どうせ二人で住むならと、新居を買った。屋敷は俺には見えない弟に譲った。
仕事が忙しくなって、弟の動向は聞こえてこなくなった。
もしかしたら、このままいなくなるかもしれない。
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