「……仕事は？」
「久しぶりに休み。君は？」
「休み。そーじゃなきゃ寝てないよーん」


彼女が布団のなかをもぞもぞ動きながら答える。さっきから目を合わせてくれない。後ろから腰を抱いて囁く。


「どうしたの？」
「んー？」
「仕事がうまくいってないの？それとも友達と喧嘩でもした？」


普段の彼女なら俺を襲うようなことはしない。……それにのってしまった俺はただの男だけども。おかしな様子だったし心配くらいする。彼女がもぞもぞ動いて俺の首に腕を回す。



こつん、と額を合わせる仕草が子どもっぽくてかわいい。



「……仕事でイラついたから襲った」
「それだけか」
「それだけ。きもちいーことして忘れようとしたんだよ」
「忘れられたか？」
「むり。薄れたけどもーやーだーっ」


　泣き言を言う彼女の頭を撫でる。同僚がどうの、先輩は嫌味だの……愚痴を言われ甘やかす。


「昼は出掛けよっか」
「ドライブ！ドライブがいい！」
「どこにいきたい？」
「海！」
「わかった」


軽く請け負うと謝られた。


「ごめんなさい」
「どうして謝るの？」
「……疲れてるのに、襲って付き合わせて」


彼女は今、ナーバスなのか。妙にしおらしい。しょうがなく言うつもりがなかったことを、耳打ちする。


「……昨日は気持ち良かったから良いよ」
「っ!?」
「それに、俺は君と居られる時間が大切なの。休日くらい一緒に居たい」
「〜〜〜!!」


ぶわっと頬を紅潮させ胸板をバンバン叩かれた。


「痛い」
「腰に響いた！ばか！ぅむっ!?」


顎をつかんで不意打ちにキスし黙らせる。愛してると囁けばもうやめろー！と怒られた。







END



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