短編 | ナノ

 01

それは、何と言い表せば良いだろう。


集合体。カオス。揉みくちゃ。


30人前後の少年達が、たった二人と殴り合っていた。


一人は、背の低い赤茶髪の少年。
一人は、髪が短くボーイッシュな少女。


たった二人に30人前後の少年達が押されていた。一人を約15人前後で囲み、ダメージを食らわせようとするが、お互いが邪魔になって上手く二人にダメージを負わせられない。


多勢に無勢。また、その逆も然り。


「ぐぁっ……」
「邪魔なんだよ!」


少年は、自分に襲い掛かってきた不良を一歩踏み込んで拳を叩き込んだ。不良は、一発で伸される。彼は、小回りがきく身体で最小限に動き、急所を突いて、相手に最大限ダメージを与えていた。次々と向かってくる武器を持った不良共を拳と持ち前のフットワークの軽さで、倒していく。


少年の背中合わせに、少女が不良と戦っていた。女だから、と言って一方的に不良達から殴られているのではなく。むしろ、逆だった。


「うがっ……!」
「ははっ」


少女は、余裕とも思える笑顔を見せながら、大振りな蹴りや拳を繰り出す。大振りな動きを、隙、と思って舐めてかかると痛い目に合う。


一人、犠牲者がまた。


「(今だ……!)」
「……はっ」


少女は目の前の不良を蹴り倒しながら、鉄パイプを振り上げて襲い掛かってきた不良の唯一の武器を後ろ手で、受け止め、そのままそれを捻り上げた。


断末魔が響く。


「ぎゃああ―――!!」
「あっぶねぇなあ、マジで」





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