短編 | ナノ

 01

 幼い頃、夢見ていたのは、真っ白なウェディングドレスを着たお嫁さん。幸せいっぱいに、はにかんだ笑顔を家族に見せ、大好きな人と結婚する姿を思い描いていた。


今、思い描いていたその夢が叶う――……。


『二人だけで、教会で結婚式を挙げよう』


そう言い出したのは、彼だった。幼い頃から描いていた夢を叶えるため、私は『二人っきり』というのは嫌だったが、渋々、了承した。その代わり、ウェディングドレス姿は当日まで彼にも見せず、今日、この日、お披露目をしよう、と企んでいた。


彼は、私のウェディングドレス姿を綺麗と言ってくれるかな。
昨日は、遠足前の子供のように目が冴えて、眠れなかった。
少し、目が赤いのが彼にバレてしまうかもしれない。
それを隠すように、軽く化粧を直して、花嫁のベールを頭に載せた。


ああ、私は今日、夢の花嫁になる。
感激で彼の前で泣いてしまうかもしれないな、と思いながら、花嫁の控室を出た。






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