おまけ!
その後のカズマさまとリンちゃん
「カズマさま……?」
いつの間にかわたしは客室隣に備えられた寝室のベッドで寝ていた。またお酒を飲んで倒れてしまったことは情けないと思う。彼はベッドに腰をかけていた。
「起きたか」
「はい……その、記憶はあいまい、なんですけれど……すみませんでした」
夢を見ていたようにふわふわとした記憶をたどれば……わたしはカズマさまとムネマサさんを間違えて大胆なことを口走った…みたいで。それを思い出してかぁぁ…と顔を赤くする。
「誘い方だのなんだのあの変態に聞いても参考にならなん」
「きっ、聞いてたんですか!」
「聞こえて来たんだ。俺とムネマサを間違えたことは、不愉快だったが」
「……ごめんなさい」
「良い。あの女を問い詰めたところ、薬には幻覚作用があったらしいからな」
雰囲気が似ていたから、では言い訳にならない。というか、あの女というのは、誰だろう?それと薬って?
「……知らなくても良い」
「そう、ですか? 記憶があやふやで……ごめんなさい」
ただ、頭の片隅にはムネマサさんの言葉が残っていた。
『求められて嫌なことなんてない。ありのまま、カズマに想いを伝えれば良い』
それは、本当だろうか? い、いやらしい自分を見せてもカズマさまは私を――。
「それと、お前相手に我慢なんてしてない」
「えっ!?」
「――我慢なんて出来るか」
そう言って覆いかぶさってくるカズマさまに心臓が跳ねる。
「ま、まって!」
「――我慢しなくて良い、と言ったのは嘘か?」
「うっ……」
ニヤリ、と笑って告げてくる彼はずるい。それは嘘じゃない。この前告げた、私の知らない、彼をもっと知りたい、と思っていることも、本当。――ただ、ここは人様のお城……!
「こっ、声が聞こえたら……!」
「あの女を唯一評価するならここを防音したことだろうな」
「ちょっ、カズマさ……」
優しく触れてくる彼。こうなったら、止まらないだろうし……求められるのを嬉しい、と思っていることも事実で……ムネマサさんの言ったことはこういうことだろうか、と考える。
「何を考えてる」
「えっ」
「俺だけを見ろ――リン」
彼の低い声が耳をかすめる。心臓が破裂しそうなくらい鼓動を打っている。ぎゅっと目を閉じ、彼の背中に手を伸ばし、すべてを受け入れた。
終わり。