05
「静子、今日は何かしていたか?」
そんな静子を訪ねるのが俺の日課で、まあ要は……俺は静子が好きなわけで、静子も俺が好きなわけで……ごめん、ノト。俺、ジミーズ街道を突っ走るとか言っていて、リア充だった。
幼馴染み件彼女は、嬉しそうに今日あったことを話す。
「朝はお散歩してーそのあとは、お母さんと料理研究! 『ごはんだよ!』に『マーガリン』を合わせると美味しいということに気づいたのだ!」
「なにそのデブ飯?」
「むー! すーちゃんも食べて見ればやみつきになるの!」
幼い喋り方は昔からで変わらねぇなあと思う。
「あ、でも、髪バッサリ切ったんだ」
「すーちゃんは気づくのが遅い! 観察眼が足りない!」
昨日まで腰まであった髪がバッサリ、ベリーショートになっていた。気付いていたけれど、なんだか言うタイミングを逃していた。
「似合う? ね、似合う?」
「似合う、似合う。ベリーショート可愛い」
「すーちゃんに可愛いって言われた!わーい!」
なんというか、健全な男子にはロングのとき見えなかった鎖骨やら首回りが……ソソル。なるほどこれがチラリズム……いやなんか違う。
それより気になったのは、静子の線の細さと白さ。……外に出ないからってすげぇ白いのも不健康だな。
「ほせぇからもっと食え。白アスパラガスって呼ぶぞ」
出されたお菓子を静子の皿に移す。
「えぇ……どうせなら骨って呼ばれたいなあ」
「それ冗談じゃすまねぇって!」
白アスパラガスは比喩で済むが、骨って直接的過ぎる。さすがに彼女に対して呼ぶのは、嫌だ。
「ねぇ、すーちゃんちゅーしよ!」
「ニコニコしながら言うもん?」
「いーじゃん、しよー! この前した舌いれるやつ!」
「ばっ……下に聞こえたらどうする…!」
静子が唐突にキスをねだる。止めろや。健全な男子高校生が暴れるぞ。
まあねだられたらやるわけには……と思ったところで、俺をジト目で見る存在に気がついた。
「へー、もうそこまでしたんだ。マジ変態じゃん。キモッ死ねば」
「あ、愛子……っ」
お茶のお代わりをもった、静子の妹・愛子が俺を蔑んだ目で見ていた。
あ、なんか終わった。
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