83 不思議な飴
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「あれ、二人ともなにしてるの?」


珍しく光と馨がふたりで奥のテーブルに座っていたのを見つけて近寄る。うーん、と何か悩んでいるような様子の二人の真ん中にはひとつの飴。


「わ、なにこれ可愛い〜」
「あ、ゆかこれは…――」
「最後の一個?ちょうだいっ」
「あ!」


ピンクの包み紙で可愛らしくラッピングされたそれに指で軽く触れるとコロン、と飴は一回り回転した。とにかく可愛くてちょうだいっと言ってその飴をぱくりと口に入れた。ええい、文句言われる前に食べちゃえ。いつもからかわれるお返しだと思って声を上げた光を見ると、食べちゃった…とあたしを見て呟いた。ん?


「これなんの味?」
「ストロベリーらしいけど…」
「そうなの?なんか普通のいちごとは違うね」
「…ゆか、なんともない?」
「え?」


なんだか恐る恐ると言った感じで二人が覗き込んできた。どうしたんだ二人とも…と思って首を傾げると、馨が「なんともない?」と聞いてきた。なんともないって?と聞き返そうとした、とき。


「…なんかあったかい」
「「え?」」


ぽんっ


体の中がぽかぽかしてきて、なんだかぽーっとしてきた。それを伝えようと口を開いたときに、ぽんっという音がしてあたしは煙に包まれた。




「…光」
「……本当だったんだ」




光と馨の前には、小さな女の子になってしまったゆかがいた。






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