98 いちゃいちゃ
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「…ゆか、それほんきでいってるの?」
「ん?」


なにかいけないことでもいいましたかあたし、周の表情がちょっと怖いんですが。でも間違ってはなくない?三歳児も二歳児もいっぱいいるから一気に何人産んだんだって話になるけど、こんな賑やかなら毎日楽しそうだ。みんな見てるとすっごくすっごく癒されるし。いいよねーこういうの、と仁に言うとチラリと視線を向けられただけだった。…なんか悔しい。


「ねえ、せっかくだしパパって呼んだげよっか」
「…」
「いちゃいちゃとかしてみる〜…――へ?」


夫婦ごっことか、意外と楽しいかもしれない。あたしの一言で悪ノリしたらしい英二が仁に向かって「パパー」って言いだした。それにむっと顔をしかめた仁にあたしもふざけて近寄ってみる。だって仁にこんな話題がふれるとは思ってなかったしなんだか楽しそうだし。いちゃいちゃしてみる〜?と聞こうとしたら腰に手をまわされてグイッと引き寄せられてしまった。


「あ、の、仁…?」
「…したいんだろ?」」
「え、あ、それは冗談で…」


反対の手でくいっと顎を持ち上げられて無理やり視線を合わせられてかあっと顔が赤くなる。べ、別にほんとにいちゃいちゃしようって言ったんじゃなかったのに…!冗談だよと言いたいのに照れてなかなか言葉が口から出てきてくれません。口をぱくぱくさせるあたしが仁の眼に映っていた。


「はなせよ」
「…」
「あっくん、ゆかちゃんいじめちゃだめだよ」


赤也と仁がなぜだか少し睨みあうような形になって(っていっても赤也は子供の姿だからちっとも怖くなんてなかったけど)(…いや、ちょっとだけ怖かったかな、充血した目が)、そしたらキヨ君が仁の服の裾をくいくいと引っ張るようにしてそう言った。…な、なにがなんだか分からなくなってきたけどとにかく解放されました。まさか冗談に乗ってくるなんて思わなかったからすごくドキドキしてしまったじゃないか。(ただでさえ整った顔しててかっこいいのに)

このあと景吾君が戻って来る前にみんなは元に戻りました。どうやら一日経てば戻るようになってたみたい。戻ったー!と嬉しそうな声を上げるみんなを横目で見ながら景吾君に電話を入れると「あいつらしばいてくる…!」だそうです。





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