April fool



病み気味なので注意です








目の前にあるのは、白い箱。真っ白で、大きくて、木で造られた長細い箱


その中で眠るあの人


あの人も真っ白だわ。顔も服もなにもかも真っ白。こんなパジャマ持っていたのね?


「ねぇ、何寝てるのよ
 起きてちょうだい」


あの人の肩に触れれば、氷のように冷たいの。あら、冷え症だったかしら?布団もかけないで寝るからよ


そもそもこんなところで寝るのがおかしいわよね。前から変わってるとは思っていたけれど、あの人はやっぱり変ね。まぁそんな所も好きなのだけど


今回はどうしたのかしら?あの人はいつも私を驚かしては笑わせてくれるの。だから何か仕掛けがあるんだわ


ペタペタとあの人に触ってみるけれど、ぴくりとも動かないの。いくら何でもコレで起きないなんて!あぁ、わかったわ、たぬき寝入りしてるんだわ!


寝てると思わせて油断した私を驚かせるつもりなんでしょう?残念ね、今回は私、わかってしまったわ。だからその手には乗らない。たまには私から仕掛けるのもいいでしょう?


なんだかワクワクして来たわ。あの人はいつもこんな気持ちでいたのね?確かに楽しいわ、人を驚かすって


でも困ったわ。私、驚かし方を知らないの。どうすればあの人をびっくりさせれるのかしら?


鼻をつまんだらびっくりするかしら?そうしたら、きっとあの人飛び起きるわね。あぁでも、あの人ったら変なところで意固地になるから我慢してしまうかもしれないわ!もしそうなったら、考えるのも恐ろしいわ!…これは止めておきましょう


他に方法はあるかしら?
ねぇ?何か思い付かない?






「…奥様、」

「なぁに?方法を知ってるの?」

「いいえ、奥様」

「何よ。ちゃんと考えて。私も考えているんだから」

「しかし、奥様、旦那様は」

「たぬき寝入りしているのよ。エイプリルフールだからといって騙されてあげないわ。私が驚かすの。それであの人の驚いた顔を見て笑うの。そうしたら、あの人は拗ねるんだわ。だから私はもっと笑うの、たくさん笑ってあの人に謝るわ。そうすればあの人も一緒に笑うのよ、いつもの私みたいにね」



ねぇ、そうでしょう?


白い箱にそう笑いかける女性に初老の執事は目を伏せた








何度言っても女性は受け入れなかった

目の前で見せても女性は理解しようとしなかった






女性が愛した夫の死を







女性はただ、ただ笑った


笑って、夫の目覚めを待ち続けた


執事は部屋を後にした


扉を閉めた部屋から声が聞こえた









ねぇ?
目をあけて?
悪ふざけはおしまいにしましょう?

ねぇ?あなた?

ふふふ、ふふふ、ふふふ、








ずっとずっと、聞こえた
エイプリルフールの真実








ふふふ、

ねぇ起きてちょうだい?


ねぇ?


ふふふ、ふふふふ!





20100401


 

怖っ!って自分でも思いました…(どうしようもない)


ススム モクジ モドル



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