小さな王様 (1/3)


「ん?なんだお前」

由紀先輩に手伝いを頼まれて久々に訪れた生徒会室。
相変わらず豪華な室内に、生徒会長こと学園の王様が座る席。
そこには、王様は王様でも…とっても可愛い王様がいました。

「…え?初等部の子?何でそこに?いや、つか、え?」

戸惑う俺を見上げ、キョトンと可愛らしく首を傾げた小さな男の子。
大きめだが少し吊り目で強気な瞳、柔らかそうな頬、さらさらな焦げ茶色の髪、初等部の制服…どこからどう見ても初等部の子供が、会長の椅子に偉そうに座っている。
ショタ萌え…!とか一番に思ったのは内緒。

誰と聞きたいのは此方だ、と思いつつ、キッチンに立つ由紀先輩に一度目を向けてから男の子に近寄り、名を名乗った。

「えと、加藤徹でーす?」

「…おれ様の部屋に何の用だ」

「え、と…由紀先輩に呼ばれて?」

子供なのに威圧感が半端ない。思わず敬語になっている事に苦笑を溢しつつ、男の子をじっと見つめる。
…何か、見覚えある気がするんだよなぁ…。

でも思い出せない、と首を傾げる俺を横目に、タイミング良く出された紅茶に飛び付く男の子。
男の子から視線を外すとソファに座りながらニヤニヤと笑う亜紀先輩と副会長。…聞いてもまともな答えは返してくれなそうだ。
俺はトレイを持ったまま会長の横に立つ由紀先輩へと視線を流した。

「由紀先輩…会長はどこに?この子は?」

「会長は此所に」

紳士な動きで指された先には会長椅子に座る男の子。は?と思わずその綺麗な顔を凝視した。

「…ただの子供でしょ?」

「ただの子供じゃねぇ!おれ様は西城嵐だぞ!」

男の子を指差して首を捻った俺に、噛み付くように睨みながら名乗る彼。
その瞬間、その名とその顔に昔の記憶が一気に脳内に流れて、二度目は我慢出来ずに絶叫した。

「ショタ会長萌えぇぇえええ…!」


#次へ
←*前へ


 [戻る] [topへ]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -