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ベストフレンドフォーエバー



「明日は迎えに行けないんだよね。」カカシさんからそう告げられたのは昨日の帰り道。別に毎日迎えに来なくていいって言っているのにカカシさんは毎日来てくれる。あたしもあたしで来なくていいよ、なんて言っておきながら「行けない」と言われたら、ほんの少し傷ついた。

「馬鹿みたい。」
「なにが馬鹿みたいなんです?」

従業員の通用口で傘を開きながら無意識に呟いた言葉に返事が返ってきて驚く。顔を上げたら、カカシさんの後輩、テンゾウさんが立っていた。彼も時々、お店に来てくれるから顔見知りだ。

「あれ、テンゾウさん?こんな時間にどうしたんですか?もうお店、閉まっちゃいましたよ。」
「ボクはカカシ先輩に頼まれて……」

困ったように頭を掻いて「迎えにきました。」と言ったテンゾウさんを思わず唖然として見つめてしまう。

「え、そんな…申し訳ないですっ!」

あたしはハッとして、顔の前で手をぶんぶん振ってテンゾウさんに謝った。だって、テンゾウとの接点なんてほとんどないのに。カカシさんに頼まれたからってわざわざ迎えに来てもらうなんて申し訳なさすぎる。ていうか、あたしは姫か。過保護過ぎるんだってばカカシさん。

「アナタになにかあったらボクが怒られるんで……」

テンゾウさんは困った顔のまま言った。その表情がカカシさんには逆らえません、と語ってくるようであたしは大人しくテンゾウさんのお世話になることにした。

「なんか、すみません。」
「いえ。カカシ先輩、アナタの事となると前が見えなくなるんで。」
「あはは…過保護すぎますよね。」

思わず苦笑いをしてしまう。

「名前さんって、カカシ先輩のこと好きなんですよね?」
「えっ、」

当然のように言ってのけたテンゾウさんに、あたしは絶句した。

「ち、違いますよ!ただの居候のです!」

あたしの言葉に今度はテンゾウさんが絶句した。半眼になって「まったく世話の焼ける人たちだ。」と大きなため息をついていた。