「 6 」
その踊りが終わった後も。
憂さ晴らしに魔物を狩りまくってテントに帰って来たガボが見たものは。
親しげに話す、その踊り子とアルスの姿だった。
ガボに気付いたようで、アルスはガボに微笑みかけた。
「やあ、ガボ。美味しい料理を御馳走して貰っているんだ。きみもお食べ」
そう声をかけてくれたのはいいが、その後すぐに彼女に視線を戻してしまった。
「キ…アイラ。彼はガボといって、ぼくの仲間さ」
すると、アイラと呼ばれた踊り子は、ガボへ笑顔を向けてきた。
「ガボ? 私はアイラよ。よろしくね、ガボ」
にっこりと。
その笑顔が記憶の内の誰かとかぶった気がするが、大して気にせず、ガボは不機嫌さを隠さぬまま返事した。「よろしくするかはおれが決める。お前からはなんだかいやな臭いがするんだ」
「あら、いやだ。私なにか変なものでも食べたかしら?」
「ちがう。そういうんじゃない。なんだか、おれの嫌いなヤツの臭いがするんだよ」
大好きで大切なアルスを、捨てて、悲しませた男。親友とかずっと一緒にいようとか口ではスラスラ言っておきながら、やすい使命だの女だののために、簡単にアルスを捨てた男。そして、アルスの心を壊した男。
あの離別の時までは、ガボはキーファの事が好きだった。キーファと一緒にいると楽しかったし、なにより、キーファが居るとアルスが幸せそうだったからだ。
でも。
――アルスを悲しませるやつは、おれの敵だ。
警戒心丸出しのままアイラを見ていると、ふと、気付いた。
利発そうな相貌。
力強い雰囲気。
目鼻立ちのくっきりとした顔。
――ああ、
こいつ、
キーファにそっくりなんだ。
愕然とした。
昔と変わらないのは、トゥーラの音色とテントの配置だけじゃないのか。
とんだ置き土産を残してくれたものだ。
「…ガボ、」
夢心地の様なアルスのつぶやきに、ガボは顔を上げた。
なにか、素晴らしいものを発見してしまったような、喜びの詰まった表情のアルス。これ以上嬉しい事はない、というような。
「この子から、誰の匂いがするって?」
喜びをかみしめながら言うそのセリフに。
ガボは確信してしまった。
――アルス。お前、まだあいつに囚われているのか…
**知らない人のために補足。アイラはキーファ(とライラ)の子孫です。顔見て一瞬で子孫だと悟ったのは、キーファの父さんとアルスだけ
憂さ晴らしに魔物を狩りまくってテントに帰って来たガボが見たものは。
親しげに話す、その踊り子とアルスの姿だった。
ガボに気付いたようで、アルスはガボに微笑みかけた。
「やあ、ガボ。美味しい料理を御馳走して貰っているんだ。きみもお食べ」
そう声をかけてくれたのはいいが、その後すぐに彼女に視線を戻してしまった。
「キ…アイラ。彼はガボといって、ぼくの仲間さ」
すると、アイラと呼ばれた踊り子は、ガボへ笑顔を向けてきた。
「ガボ? 私はアイラよ。よろしくね、ガボ」
にっこりと。
その笑顔が記憶の内の誰かとかぶった気がするが、大して気にせず、ガボは不機嫌さを隠さぬまま返事した。「よろしくするかはおれが決める。お前からはなんだかいやな臭いがするんだ」
「あら、いやだ。私なにか変なものでも食べたかしら?」
「ちがう。そういうんじゃない。なんだか、おれの嫌いなヤツの臭いがするんだよ」
大好きで大切なアルスを、捨てて、悲しませた男。親友とかずっと一緒にいようとか口ではスラスラ言っておきながら、やすい使命だの女だののために、簡単にアルスを捨てた男。そして、アルスの心を壊した男。
あの離別の時までは、ガボはキーファの事が好きだった。キーファと一緒にいると楽しかったし、なにより、キーファが居るとアルスが幸せそうだったからだ。
でも。
――アルスを悲しませるやつは、おれの敵だ。
警戒心丸出しのままアイラを見ていると、ふと、気付いた。
利発そうな相貌。
力強い雰囲気。
目鼻立ちのくっきりとした顔。
――ああ、
こいつ、
キーファにそっくりなんだ。
愕然とした。
昔と変わらないのは、トゥーラの音色とテントの配置だけじゃないのか。
とんだ置き土産を残してくれたものだ。
「…ガボ、」
夢心地の様なアルスのつぶやきに、ガボは顔を上げた。
なにか、素晴らしいものを発見してしまったような、喜びの詰まった表情のアルス。これ以上嬉しい事はない、というような。
「この子から、誰の匂いがするって?」
喜びをかみしめながら言うそのセリフに。
ガボは確信してしまった。
――アルス。お前、まだあいつに囚われているのか…
**知らない人のために補足。アイラはキーファ(とライラ)の子孫です。顔見て一瞬で子孫だと悟ったのは、キーファの父さんとアルスだけ
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