「 おまけ 」

―――――――おまけ――――――――

 いつもの、アカデミーの屋上にて。

「ああ、うん。ばれたよ」

 何でも無いことのように軽く言った時の、シカマルの反応は面白かった。
 なにか絶望したような顔をした後、間もなくいつもの腑抜けたやる気のない顔に戻り、「ああ、そう、そんな予感はしていたんだよな、メンドクセー」とつぶやいた。

「そんな予感がしていた? へえ、いつから?」

「ナルトがお前を避け出したあたり。ついでに言うと、今日ナルトの機嫌が良かったから、多分、昨夜また何かあったんだろ?」
 苦虫を噛み潰すような渋い顔をしながら、シカマルはペットボトルの水を飲み始める。

 裕也も持参の菓子を食べながら話す。
 天気の話でもするように。

「昨夜? うん、あったよ。おれ、襲われたわ

「ブッ!」

「うわ、きったねぇな。冗談に決まってんだろ」

 飛んできた水しぶきを払う裕也。「あのお子さまにそんな度胸があるわけないだろ」

 口元を拭くシカマル。「ああ、そう。まあ、そうだな。むしろそうであってほしいと願ってるわ

 屋上に寝っ転がりながら、裕也は明るい笑顔を向けてきた。「やっぱりお前が一番の友達だな、シカマル」
「?」
「おれが女だと分かっても、態度を崩さなかったのは、結局、お前だけだった。」
 裕也の視線が空にいく。「…おれは、あいつにも、態度を変えて欲しくなかったんだ。男でも、女でも、おれはおれなんだから。…昨日分かってくれたみたいだからいいけど、でも、昨日までは、結構つらかったぜ」と、苦笑する。

 ――『おれが女だと分かっても、態度を崩さなかったのは、結局、お前だけだった。』

 シカマルも空に視線をやる。

 ――いや、そうじゃない。俺は、汚い心の中を悟られたくなくて、隠していただけだ。それが結局態度を崩さなかったことに繋がっただけ。鎧を着ていただけ。だから『男でも女でもいいから態度を変えなかった』わけじゃない…

 まだ、態度に出したナルトの方が良い奴だ。
 おれなんか…

「めんどくせぇな…ほんと」

 目をつぶった。

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