「 10 (この章の終り) 」
シカマルの知識は本物だった。
彼の知識は、明らかにアカデミー生の持ち得るものではなく、また一介の忍びのものではなかった。
いつどこでそんなものを読めたのか知らないが、その知識は禁書レベルのものまであった。禁書は、火影の許可が無いと絶対に読めない特別な場所に厳重に保管されているはずだ。
シカマルは、内海の顔色や瞳孔の開き具合、そして腹に手をあてチャクラの流れを見る。
すべての症状を総合的に判断する。
冷静な目。
彼の顔は、真剣だった。
狐空は、長い間護衛対象であったシカマルの、そんな顔を初めて見た。
――本来のお前の眼はそういうものだったのか。
いつも死んだ魚のような眼をしているくせに。
そんなことを思いつつ、壁に背を預けていたら、
ふと、シカマルがこちらに振り返った。
「おい、ナルト、」
「俺は狐空だ」
「ああ、面倒臭ぇな。狐空、手を貸せ。」
狐空は意地悪く口端をつり上げた。「あれ? お前が一人でできるんじゃなかったのか? 散々俺を馬鹿にしておいて、結局俺を頼るのかよ」
シカマルは嘆息する。「減らず口を叩いているほど事態は悠長に待ってくれないぜ。いいか? 俺は、知識はあるんだよ。でも力が無いんだ。俺は自分に力が無いことを知っている。同時に、どうすればいいのかも知っている。だからお前が必要なんだよ」
「なるほどね。つまり、この俺に、『俺の言うとおりにしろ』と言っているわけだ」
「そうだ」
「ハッ、」狐空は鼻で笑った。「幻の暗部総隊長様を顎で使うガキなんて、暗部の連中が知ったらどんな反応するだろうな!」
そう言いつつも、憎まれ口とは裏腹に、素直にシカマルの隣に座り、指示をあおった。「で? 俺はどうすればいい? こいつの体質に変化させたチャクラを流し込むか? そういう高度なことは俺にしかできないぜ?」
シカマルは、内海を見つめたまま、慎重に答える。
「いや、そういうのはいい。お前はただ、この子を俺ん家に運んでくれ」
たっぷり5秒ほど間をあけてから、狐空の「はぁ!?」と訊き返す声が響いた。
彼の知識は、明らかにアカデミー生の持ち得るものではなく、また一介の忍びのものではなかった。
いつどこでそんなものを読めたのか知らないが、その知識は禁書レベルのものまであった。禁書は、火影の許可が無いと絶対に読めない特別な場所に厳重に保管されているはずだ。
シカマルは、内海の顔色や瞳孔の開き具合、そして腹に手をあてチャクラの流れを見る。
すべての症状を総合的に判断する。
冷静な目。
彼の顔は、真剣だった。
狐空は、長い間護衛対象であったシカマルの、そんな顔を初めて見た。
――本来のお前の眼はそういうものだったのか。
いつも死んだ魚のような眼をしているくせに。
そんなことを思いつつ、壁に背を預けていたら、
ふと、シカマルがこちらに振り返った。
「おい、ナルト、」
「俺は狐空だ」
「ああ、面倒臭ぇな。狐空、手を貸せ。」
狐空は意地悪く口端をつり上げた。「あれ? お前が一人でできるんじゃなかったのか? 散々俺を馬鹿にしておいて、結局俺を頼るのかよ」
シカマルは嘆息する。「減らず口を叩いているほど事態は悠長に待ってくれないぜ。いいか? 俺は、知識はあるんだよ。でも力が無いんだ。俺は自分に力が無いことを知っている。同時に、どうすればいいのかも知っている。だからお前が必要なんだよ」
「なるほどね。つまり、この俺に、『俺の言うとおりにしろ』と言っているわけだ」
「そうだ」
「ハッ、」狐空は鼻で笑った。「幻の暗部総隊長様を顎で使うガキなんて、暗部の連中が知ったらどんな反応するだろうな!」
そう言いつつも、憎まれ口とは裏腹に、素直にシカマルの隣に座り、指示をあおった。「で? 俺はどうすればいい? こいつの体質に変化させたチャクラを流し込むか? そういう高度なことは俺にしかできないぜ?」
シカマルは、内海を見つめたまま、慎重に答える。
「いや、そういうのはいい。お前はただ、この子を俺ん家に運んでくれ」
たっぷり5秒ほど間をあけてから、狐空の「はぁ!?」と訊き返す声が響いた。
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