韓紅


英字新聞を広げ珈琲を啜る獄寺は、周りのどんな外国人より様になっていたし、そんな周りの奴等は綺麗な俺の恋人に釘付けだった。
残念だったな、お前ら。
コイツはもう十年も前から俺のものなの!
誇らしげに獄寺に近寄って、肩を叩く。
お疲れ、と耳元で囁いて頬に軽くキスをする。
チラリと周囲を見ると、羨望と溜め息。
そうそう、みーんな獄寺のこと、指を咥えて見てればいいのな。
「っ、山本っ!人前で……っ」
獄寺は24になってから益々美人に拍車がかかって綺麗になった。
銀髪も緑眸も白肌も淡桃唇も艶やかで、長い睫が伏せられると、本当にドキリとさせられる。
昔より立ち振舞いは随分落ち着いたけど、ツナのためにとなると相変わらず危なっかしくて、一生懸命で周りが見えなくなる。
でも誰より頑張って仕事に打ち込んでるし、努力だってしてる。
そんな獄寺が俺の恋人でいてくれてるなんて、本当に奇跡みたいで。
会う度に嬉しくて、つい調子に乗ってしまう。
「ごめんな、俺のものって認識したかったのな。」
「今更……」

本当に今更だ。バカ。
山本は昔より嫉妬深くなったと思う。
ボンゴレ二大剣豪の風格を身に付け、幼さ残る顔から精悍な顔つきに変わり、背も伸び、スーツもすらりと着こなす。
どこか危ない大人の雄の見た目とは裏腹に、中身は相変わらず誰にでも優しくて、自分の信念と決めたものは意地でも貫き通す、その為にどんな努力も出来事も苦としない、そんな奴だった。
そんな奴がよく俺に飽きずに付き合ってくれている、と思う。
本当に奇跡だ。
今だって、山本が来た途端に周りが浮き足立ったようにざわつく。
コイツは俺のだ。
「お前だって、俺のものだ」
頬にキスを落とした山本の耳元にそう囁いて、俺も山本の頬にキスを落とした。



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