世界でいちばん頑張っている君へ



獄寺ってすげーな、と言うと、当たり前だろ俺は十代目の右腕なんだから!と誇らしげに言う。
すげえキラキラした顔して、自慢気に笑う。そんな獄寺の顔が好きだ。
獄寺は頑張っているんだ。毎日筋トレしてるし、授業内容はしっかりノートにまとめてる。 頭いいのに予習復習欠かさないのもツナのため。ツナん家の周り毎日警備して、近くに不良がいるもんならツナがびびるからツナが見てないところで牽制をかけている。みーんなツナのため。
そりゃツナが羨ましいし、ぶっちゃけ嫉妬もする。けどなあ、今更ツナと張り合おうなんて思わねーし。
ツナが知らない獄寺の頑張りを俺だけが知ってるってのは、同じくらい誇らしかったりする。
それに、ツナのために頑張る獄寺をずっと見守っていたい。そして、頑張りすぎて空回る獄寺をカバーしてあげたい。

「明日は十代目と笹川の初デートだ!」
「ツナもやるなあ」
「ったりめーだろ!十代目なんだから!」
「ハハッなんで獄寺が自慢気なの?」

いつものような会話だったのに、獄寺の顔が爆発したみたいに真っ赤になった。
えっ、俺なんか変なこと言ったか?

「……デートのこと、俺に、相談してくださって…」
「へえ。すげえじゃん獄寺」

頼られてんな、と頭を撫でると、何故か不満げな顔をして俺を睨み上げる獄寺。

「お前と、行った水族館のこと、話したんだ」
「うん」
「そしたら、十代目がそこに行こうかなって…」

ツナに俺と行ったこと話してくれたんだあ。
すげえ俺、顔にやけちゃってるかも……。
顔を掌で隠していたら、獄寺が俺の肩に頭を預けてきた。
あまり経験したことない可愛さで、思わず固まってしまう。

「調子に乗って、十代目に、お前のことばかり話しちまった…」
「え?どんな?」
「ひみつ」
「えー」
「それだけは絶対言えねえ」

真っ赤になって俯く獄寺。
俺はそんな獄寺の頭にキスを落として、ぎゅう、と抱き締めた。
ツナばっかじゃねえのな。獄寺、俺のためにも頑張ってくれてるのかも。
そういうとこ、見逃しちゃってるのかなあ。
あー、なんかすげえもったいねえのな。
俺、今度から、獄寺のそういうとこもちゃんと見ていきたい。


後日、ツナから、山本みたいに水族館でぬいぐるみをプレゼントしたら京子ちゃん喜んでくれたよ。という報告をもらって、更に、獄寺君があんなに嬉しそうに言ってたから、と付け足されたら、ぶわーってすごい胸が掻きむしられてかーって熱くなった。あーこれが幸せかあ、なんてにやけたら、ツナが山本にものろけられた、と笑った。

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