エルグ様から「当分会わん」と言い渡された私の心境は、さながら死刑判決を言い渡された冤罪の被告人。先程までの幸せから一転、未来が絶望一色に塗り潰され、膝から崩れ落ちた。なんでそんな唐突に!?折角距離が縮まってきたと思ったら酷いです上げて突き落とすだなんてっ!この女たらし!でも好きですアイラブユー!!と泣き喚いたら叩かれた。相変わらず女の子の扱い方がなってない。

で、さっきの言葉の意味を逐一から説明してもらった。



「……グルメ界ですか。流石ですエルグ様」


どうやら明日から暫くの間、料理長と共にグルメ界の精鋭に行くらしい。美食會の面子の中でもグルメ界に行けることのできる人数は限られてるから、選ばれるのは当然っちゃ当然か。流石のGTロボも、グルメ界の過酷な環境にはギリギリ耐えられても猛獣に遭ったらオシマイだし。いやはや、それにしてもグルメ界とは……第一支部長様、流石。グルメ界なんて私には未知の領域すぎる。知ってることといったら過酷な環境と屈強な猛獣がいるってことだけ。あと強いてあげるとすれば、私の目に後遺症を残したウイルスくらいかな。ああ、私にも力があったらよかったのに。そしてグルメ界で珍しくて好みの猛獣を色々取っ捕まえたい…そして飾りたい。
というかそういう話なら最初からそういってくださいよ。弄ばれたって早とちりしちゃったじゃないですかーやだー!


「貴様も行けたなら、更に研究が捗るのだろうがな」
「無理です無理無理!グルメ界どころか人間界の環境ですら危ういんですからー」


私はグルメ細胞なんて持ってないし、戦闘だってただ一度もしたことがない。そんな奴じゃGTロボで出来るのは精々歩く、走る、ジャンプくらいの操作だ。しかも人並みにしかできないから、直ぐに猛獣に襲われて終わっちゃう。操作する人の実力がそのまま活かせるGTロボだけど、私のようなやつにとっては余計な機能だ。赤ん坊に最先端技術を駆使したバイクをプレゼントしたって、跨がることもできやしない。あーあ、今度新しく作ってみようかな、操作する人の実力関係なくパワーが出せるGTロボ。そしたらエルグ様についてゆける……!!俄然やる気が出てきた!


「あっでもでも、代わりに此処で頑張りますので問題ないです!」
「私が居なくても研究が出来るのか?」
「いえいえ、グルメ細胞の研究ではなくてですね……実は今回っ!なんとニトロの解剖をすることになったんですー!!」


勿論死骸ですけどね!美食會のお偉いさんがグルメ界で見つけてきたらしく、詳しく調べるために、今回私を含む何人かの研究部の人間に集合がかけられた。残念ながら死骸だから主な作業は解剖くらいしかできないけど。しかもアレ見た目タイプじゃない上に生殖器ないからつまんない。まあもしかしたら他にも色々できるかもしれないし、誰かに細胞を移植すればニトロの能力が手に入るかもしれない。どっかからモルモットを調達してもらおうかな。活きのいい成人男性がいいなぁ。


「……忘れそうになるが、貴様は中々使える奴だったな」
「えっやだ、いきなり褒めないでくださいよー照れちゃいますって!ウフフーエルグ様の期待に応えられるよう頑張りますね!」
「相変わらず都合のいい耳だ」
「あぁっでもエルグ様に会えないのに、研究に集中できるか心配です……ちょっと右足切り取らせていただけません?」
「断る。何に使用されるか分からんのに渡せるか」
「何ってそりゃーナニに、痛ぁ!!」


どうせ生えてくるんだからくれたっていいのに……ぐすん。エルグ様のドケチ。


「ではではエルグ様、お気をつけてー!」
「不死の身体で何を気を付けろと……貴様こそ気を付けろ。また死骸から何か貰うはめになるかもしれんぞ」
「うぐっ……キヲツケマス」


何て嫌なことを……忠告は有り難いんですけどね。あと私のことを気遣ってくださったのも嬉しいですけどね。もっと素直に気遣ってくれていいのに。


は嘲笑っていた



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