∴ 怖い夢を見たゼブラさん 見た目からして非力な存在だった。小僧よりも小柄で細くて臆病で。だが、それでもオレの代わりとなれる程に力を持っていた。本人には自信がないようだが、オレは奴の実力を評価していた。だから、こうした危険区域でも大丈夫だろうと、オレは一人で出歩いた。 それが駄目だった。 オレがいなくなったのに気付き、ひたすらオレの名前を呼んでいた声が、突然途切れた。 それだけじゃない。全て途切れた。 動く音、呼吸音、心臓の音。 耳がイカれたのかと思ったが、他の音は喧しいくらい聞こえてくる。まさか。 「ゼブラさんっ!」 突然聞こえてきた声に、意識が浮上する。 「大丈夫ですか?魘されてたみたいですけど……」 「……ぁ?」 さっきまで目の前に広がっていた木々は消え失せ、白い天井、そして見覚えのある女の顔 へと変わった。 夢、だったのか。 「……顔色が悪いですよ。何か飲み物取ってきますね」 何処かへ行こうとする腕を咄嗟に掴んだ。 「ゼブラさんっ?」 「……飲み物はいらねぇ」 此処にいろ。 プライドが邪魔をして出てこなかった言葉に応えるように、小さな手がオレの手を包んだ。 … 悪夢に魘されるゼブラさん可愛い ← (top) → |