∴ 哀れな子とジョア 「外の世界は素敵ですよ」 この人は、私の所に現れるたびに外のことを話してくる。 別に私は外に出たことがないわけじゃない。太陽の眩しさとか空の青さとか、色々知ってる。ただ最近は部屋に閉じ込められているから見てないけど。 何で私を閉じ込めたのか。何で私に暴力をふるうのか。何度お父さんとお母さんに聞いても答えてくれなかった。目の前でお話をしているジョアさんも、何も答えてくれない。でも代わりに色んな話をしてくれる。関心もないし面白くもないけど。何でこの人はココに来るんだろう? 「開放的で、様々な動物が存在して、珍しいものもあって……それに、お友達が作れます。私にはいませんが、貴女だったら直ぐに色んな人と仲良くなれるでしょうね」 「……そうかな。お父さんにもお母さんにも嫌われてる私なんかを好きになる人はいないと思う」 「お二人に嫌われたからといって、他の人に嫌われるとは限らないでしょう?」 優しく諭すように言ってる。でも、それは暗に「外へ逃げろ」と言っているから、素直に受け止めることができない。あと百十三日、ココで良い子にすると決めたんだ。お父さんとお母さんに好かれるために。だから、 「私、ココから出たくない」 そう言うと、ジョアさんはちょっと考えるような素振りをしてから、私の頭を撫でた。……どうせなら、お母さんにされたいなぁ。 何処からか愚かな子、と笑う声が聞こえたような気がした。 ---------------- ネタバレ↓ 夢主はトミー連載の子 ← (top) → |