1日目


出所条件を満たすために、オレはIGOが用意した適当な家で暮らすこととなった。人気がなく静かな所で、うまそうな猛獣共がいるからけっこう気に入っている。それは良かった。不満も何もねぇ。いや、「無かった」というのが正しいか。とりあえず与えられた家に着くと、先着が2人いた。

トリコと、見た事無い女。


「よっ、ゼブラ。良かったな〜住居もらえて」

「・・・何しにきやがった。ここはオレの家だろぉが、何女連れ込んでんだ、あぁ?」

「え、所長から話きいてねぇの?」

「話だぁ・・・?」


一体どういうことだ。トリコの隣にいる女を見ると、「っひ、」とトリコの後ろに隠れやがった。


「おいおい、怖がらせるなよ」

「ただ見ただけだろうが」

「お前の顔は怖いんだよ」

「・・・・・・」


嘘をつくのは悪いが、もう少しは気遣えねぇのか、こいつは。
もう一度女を見ると、今度は隠れずに頭を下げた。礼儀はまぁいいんじゃねぇか。


「こいつはうるうといってな、お前がハニープリズンにいた間代わりに働いていたんだ」

「・・・この、女がか?」


そう言って女に目線をやると、初めて口を開いた。


「こ、これでも私強い…とは言われました」

「そうか、ならいいが・・・で、紹介のために連れてきたのか、暇人が」

「暇じゃねぇよ!」

「俺から見りゃ暇人だ」


実際ただ自分が食いてぇのを狩ってくるだけだろ。オレはお前と違って暇じゃねぇ。
それに出所条件を満たすだけじゃなく、小僧をパートナーにするためにフルコースも完成させなくちゃならねぇんだからな。


「紹介もそうだが、それだけじゃないんだよ」

「じゃぁなんだよ」

「あのな、お前自分が他人からどれだけ危険視されているか分かってるか?」

「大体な」

「さらにお前を一人にしとくと何をしでかすか分かったもんじゃないし、
 下手すりゃまた生物を絶滅させるかもしれないとIGOは考えている」

「・・・・・・」

「そして、お前は注意しても素直に聞くとは思えない」

「・・・だから何だ」

「そこでだ!」


女の肩を軽くたたいて、こいつはふざけたことをぬかしやがった。



「うるうが監視役としてお前とここで同居する事になった!」