昨日スローにやった蟲は、目的の獲物を見つけたらボクの所へくるようにと仕込んでいる。つまりスローにとっては役に立たない奴等だ。ざまぁみろ!でもあいつの事だから、多分気付いてる可能性がある。まぁそれでもあいつは蟲を使うだろう。スローにとって大切なのは「獲物を発見し、捕らえること」。どちらが見つけようが関係ない、いや、興味がない。目的さえ達成できれば他はどうでもいい。ボクも同じ考えだけど、あいつはボク以上だ。プライドなんてむしろ持ってないんじゃないかと疑うレベルだ。どうやったらあんな風になるんだろ。あ、スローにやったであろう蟲共が来た。見つけたのか、えらいえらい。
蟲の示す方へ行くと、微かに血の匂いがしてきた。まさか、もうスローが捕らえたとか?駄目だなぁ、ノッキングしろって料理長に耳にたこが出来るほど言われたはずなのに。そう「思い込み」ながら、自然と歩く早さが上がった。冗談だよね。今回の獲物は確かに植物だけど、身体は動物に限りなく近いし血も流れている。あいつから見つかったという連絡はない。どういうことだろと、分かっているはずなのに、どうしても理解しようとしない脳みそに苛立ちやらを感じながら、獲物を見つけた。



そいつの足元には、喉を掻っ切られて血を流しながら無様に横たわっているスローがいた。




ああなんだよお前かよばっかじゃねぇのそいつ捕獲レベル60そこそこだろが何なの油断でもしたのてかそいつの幻覚対策してなかったのかよどんだけめんどくさがりなんだよ何なの自惚れすぎたろあーそういえばこいつにそのこと言ってなかったなどうしてだっけそうだ知らずに行ったらこいつはすぐ引っかかって怪我でもするだろうなとか思ってあえて言わなかったんだっけなんでお前訊こうとしなかったんだよホント馬鹿だな見てるこっちが惨めになってくるだろおいどうせ死んでねぇんだろ何で立たねぇんだよ起きろよおい逆に獲物に喰われてどうすんだ手に負えないほどめんどくさがりで馬鹿で愚かで役立たずだなお前もういーよそのままそいつに喰われちまえよおい止めろ何そいつ喰おうとしてんのそいつはボクが殺すんだまだこいつの顔を苦痛に歪ませてないしまだやりたいことだってあるし何なのこいつうるさいなぁボクの脳も心臓の音も全部全部うるさいああもうほんとに、



「死ねよ」



ほぼ無意識のうちに八つ裂きにすれば静かになる獲物であったものの肉片が辺りに散らばった。こいつまじで植物なのかよ、気持ち悪。そして無様なスローの横に膝をついて脈をとれば、弱弱しくも血は流れていた。それに安堵する自分。それにも嫌気を感じながらとりあえず肉片を拾い集めてからスローを担いで本部に帰ることにした。
死んだら蟲の餌にするからな、スロー。



本部に着いたと同時に、獲物をノッキングしろと言われたのを思い出してまた嫌気がした。
■ Tの思考

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