今日は待ちに待つどころかこっち来んなと言いたくなるような、トミーとの初のハントだ。こいつの事だから、隙を見て私に向かって蟲を生んできたり殴りかかってきたり等の妨害をしてくるんだろうなぁ。想像するだけでも面倒だ。帰りたい。そして昼寝したい。


「帰りたい・・・」

「ざけんな。まだ目的のもん見つけてすらいねぇだろ」

「お前一人でも大丈夫じゃん。何で私まで?」

「今回の獲物は植物なんだよ。スロー、お前植物好きなんだろ」

「あー、まぁね」


植物か。なら私の出番かなとは思ったが、それを伝えたのは昨日であり、同行を命令したのは1週間前だ。おかしくないか。


「どの道連れてくつもりだったから」

「・・・・・・」


でしょうね。



「じゃ、ボクあっち探すから、お前こっち探しなよ」

「見つけたら一応連絡するね」

「ボクは知らせるつもりなんてないけどね」

「別にいいよ」

「・・・・・・死ね」

「何時か、ね」


そんなトミーとの(一方のみが怒りによって)心温まる会話をした後、二手に分かれる。現在地は森の中。濃霧のせいで視界が見えにくい状況だ。この状況で探すのか。帰りたい。とりあえず森の中を進む。ついでにトミーから譲り受けた蟲を出して、森に放った。獲物を見つけたら、すぐに私の元へ知らせに来るだろう。あー、でもあいつのことだから、自分の所へ来るように何かしらしてるかもしれない。私の元へ帰ってくる確立は低いな。

それにしても、何かがおかしい。生き物の気配がするのに何も見えない。霧のせいではない。もっと別の何かだ。なに、


「っ―――――!!?」


瞬間、喉に一線の熱を感じた。
とっさに距離をとろうとしたが、その前に根のようなもので吹っ飛ばされた。
地面に横たわり、掻っ切られた喉から血が流れ出てくるのを感じながら、獲物であろう食獣植物を眺めた。

あ、こいつ催眠効果のある霧を発生するタイプか。いいなぁ欲しい。
というか、トミーから獲物について何も訊いていなかった。うっかりしてた。

私らしいかは分からないけど、この死に方はいただけないなぁ。ま、仕方ないか。
諦めて私は目を閉じた。





閉じる瞬間、視界に入ったのは見慣れたピンクだった気がする。
■ そして私は死にましたとさ

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