「なあ、天馬、ちょっといいか?」

今、部活が終わり、最後にカギを返しにいく係になっている天馬を抱きしめているのは、神童キャプテンその人である。

「は、はい……何でしょうか……?」

えーと、どうしてこうなったんだっけ。何故か待っていてくれたらしいキャプテンととるに足りない日常の会話をしていたら、いつの間にか抱きしめられていた。

「……なあ、天馬、『愛してる』って言ってくれないか?」
「…………はい?」

一体何を言っているのだこの人は。本気で分からない、と言った顔をしている天馬に気づいているのか気づいていないのか、神童は続ける。

「昨日ふと気づいたんだ。俺達付き合っているはずなのに、お前の口からは『好き』も『愛してる』も聞いた事ないな、と」
「………は、はあ」

本気でリアクションに困る。何しろ天馬はキャプテンである神童の事は尊敬こそすれ、付き合っているとは思っていなかった。まあ、よく『好き』と言われたりキスとかはされるけど、普通らしいし。
うーんどうしようこの状況、とか思っていると、急に接近してくる神童の顔。

「ち、ちょっ、キャプテン顔近すぎませんか!?」
「ん、そうか?まあ小さい事だから気にするな。それより天馬、言ってくれないのか?」
「え、」
「ほら早く言ってくれ。早くしないと、このままキスするぞ?」

そのままんー、と顔を近づけてくる神童に、とうとう限界になったのか、不意に真っ赤な顔で神童を振り払った。

「あ、あの、俺!太陽のところに行かなくちゃいけないんで!それじゃ!」

慌てて逃げ出す天馬の背中に「何で言えないんだ天馬?」だの「俺の事が嫌いになったのか?」等と聞こえてきたが、全て幻聴だと思うことにする。



ああ、早くこの火照った頬から熱が冷めればいいのに!


『愛してる』って言えなくて ver.S



(そんなセリフ、言えないよ……だって……なんか…………)






シリーズ第二弾。なんか色々雑ですみません、これが30分クォリティという奴かそうなのか。
……うん、なんかキャプテンがヤンデレっぽくなっちゃったけど私気にしない!←

ver.Aに続く!


2012/02/02up




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