聖なる夜の。3




そうして、トウヤとNの交流は続いた。といっても一年に一回、サンタとしてやって来た間だけだったが。

Nが段々と大きくなり、トウヤの背丈に迫ってきたある年、Nはふと頭に思い浮かんだ疑問をぶつけてみた。
「そういえば、出会ってからトウヤはあまり年をとってないように見えるけど、何故なんだい?」
そこで適当なことを言ってごまかしてもよかったのだが、トウヤはただ単に事実を述べた。
「ああ、それは俺らサンタ達にかけられている魔法のせいさ。何かが起こらない限り、定年までずっと肉体は年をとらないんだ。」
だからあまり新人は入ってこないんだ、と言うと、Nはひどく驚いた顔をした。
「それ……ホント?」
「ああ。ホントにホント。実際俺がこうやってお前と会って話せるのも、その魔法のお陰だし。ただし俺らが使う方は一年に一回限定なんだけれどな。」
それを聞いて何か考え込むN。しかしトウヤが「どうした?難しい顔して考え込んで。」と尋ねると、「何でもない」といつもの表情に戻った。

そしてそんな会話から二年後、トウヤはNの元に行けなくなった。


「ちょっ……、どういう事ですか、アイツがいるあの地域は俺の担当でしょう!?」
叫ぶトウヤと、それを宥める彼の先輩。食ってかかった先は、彼らの上司である。
「ああ、確かにそうだが、別にお前をあの城の担当から外した訳ではない。」
「だったら何故!」
「行く必要が無くなったから、だ。今年はその城に住む子供からは希望が届いていない。分かったなら片付けを手伝え。人手が足りない筈だ。」
それきり、もう質問は受けつけないといった様子で書類仕事を始める。そんな上司を暫く睨みつけていたトウヤは、足音荒く部屋を出て行った。
「……確か、あれだよな。あの城の子供と仲が良くなったサンタとは。」
「ええ、まあ。常に他とは一歩線を引いているあの子に珍しくできた友人ですから、微笑ましく見守ってましたが……裏目に出ましたかね?」
「……ああ、まあな。まさかあんな手紙が来るとは……上も驚いておったわ。」
「その手紙には何と?」
「まだ教える訳にはいかない。だが、これだけは確かだな。……上は、あの二人を試す気だ。個人的には忠告してやりたい所だが…」
「試すって、何を?」
「後々分かるだろう。さあ、お前も早く仕事に戻れ。こちらはこちらで忙しいのでな。」
「はい。それでは、失礼します。」

そして、青年も部屋を出て行った。



(なんで。俺たちは、友達じゃなかったのか?)




一方的に別れられたとショックを受けるトウヤ君と、なにか企む(?)Nさん。行かなくなった時、Nさんは13歳くらい?のつもりです。




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