私は何時にも増して機嫌が良かった。
久し振りの、いや初めての学校。
日本の幼稚園に行って、卒園してすぐにイタリアに行ったからだった。
イタリアでは日本人学校にすら行かなかった。
殆どマフィアについての勉強。
当たり前に字は書ける。
ある程度の漢字も、計算も勉強した。
此処の皆とは同じ様に進めないかもしれない。
でも私は、それを精一杯に楽しもうと思う。
初めて着た中学の制服。
すごく可愛い。
暫く鏡の前に立って眺めていた。
部屋に入って来たママは満面の笑みで似合ってると褒めてくれた。
少しだけ恥ずかしい気分になる。
ふと部屋を見渡してみた。
まだダンボールの詰まれている部屋。
殺風景な部屋。
家具は全て配置した。
でもまだカーテンとかは着けていない。
届いた教科書は机に綺麗に並べてある。
でも机の上はまだ殺風景。
この部屋を自分好みに変えていくのが楽しみで仕様が無い。
私はお兄ちゃんの部屋をノックしてからドアを開け入った。
お兄ちゃんは起きていた。
『まゆこ?どうしたの?』
「ど、どうかな、制服・・・」
お兄ちゃんはああ、と言って一歩下がって全体を見た。
『うん、似合ってんじゃん』
「ほ、ほんと!?」
『ほんと、』
私は嬉しくなった。
遅刻するぞ、とお兄ちゃんが言いながら下に下りたから私は急いで階段を下りて玄関を飛び出した。
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