アネ→ドミ


※漫画版、本編後。



強い日差しに汗ばむ時期が終わり、人々が肌を隠すようになってきた今日この頃。
小高い丘の上で感じる風に少し寒さを感じながら空を見上げる。
ドミニクの墓参りを終えて帰る途中、アネモネは自分のヒザの上で眠るガリバーを一撫でした。

「アネモネ、寒くない?」
まだ自らの足で歩くことの出来ない彼女の車椅子を引く女性が、後ろから声をかける。

「大丈夫。風が気持ち良いくらいよ」
なびく長髪を手ですきながら、彼女は微笑んで見せた。
以前の彼女なら、こんな穏やかな時を過ごす事も、誰かに微笑みかける事も、考えられなかった。
ふと、彼女は思い出したかのように振り返った。

「聞いて、ミーシャ。今日とても良い夢をみたの」
「あら、どんな夢?」
「ドミニクに初めて会った日の夢」
寒さからか恥じらいからか、アネモネは少し頬を染めながら愛おしそうに空を見上げ、語り始めた。

「素敵じゃない」
「うん。今までは気づかなかったけど、きっと私、あの時からドミニクの事…」
そこまで言って俯いてしまったアネモネの表情は、後ろにいたミーシャには見えなかったが、その背中は寂しそうに見えた。
ふと、ミーシャが口を開く。
「ねぇアネモネ。その花は何色だったの?」
「…色?…確か、赤だったと思う」
「そう。知ってて渡したのかしらねぇ、彼は」
「?何を?」
「赤色のアネモネの花言葉を」

再び振り返ったアネモネの目に映ったのは、優しい笑顔のミーシャと、吸い込まれるほど綺麗な青空だった。
 
 
 
『君を愛す。』
 
 
(あのバカがそんな事を知ってたのかなんてわからないけど、そうだと良いな、なんて柄にもなく思ってしまった)





−−−−−−−−−−

赤いアネモネの花言葉が『君を愛す』だと聴いて突発的に書いたもの。
ドミニクとアネモネが素敵すぎて辛いです。
ちなみに私は漫画派なのでドミニクが死んだ後の話です。


- 2 -


[*前] | [次#]
ページ:




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -