クオミク


温暖化とやらの存在を疑いたくなる季節、冬がやってきた。
と言っても、正直俺らには気温も気候も季節も、別に関係ないのだが。

ミクは今、マスターに連れられて歌の練習をしに行っている。
俺はと言うと、一人で、特に何もする事もなくただぼんやりと帰りを待っているのだ。
暇つぶしにでもと、この前マスターに教わった歌を口ずさんでみたものの、静かな部屋に響くだけで余計に空しく感じるだけだった。


「ただいま、クオ君!」
「ぅわっ!お、おかえり、ミク」
少しウトウトと船を漕いでいると、ミクの強烈な体当たりによって現実に引き戻された。
「練習、終わったのか?」
「うん!」
胡座をかいた俺の上に抱き付くように乗ると、満面の笑みで頷いた。
そのまま、新しく覚えた歌はここが難しいとか、ここの歌詞で泣けるとか、話出したがしばらくすると疲れたのか俺に寄りかかるように居眠りを始めた。
呆れつつもそのままミクを抱きしめ、また暇になったなぁ、なんてぼんやり思った。

ふと、ミクの左腕が目に入る。
そこに書かれた01という字は、彼女が自分と違って『特別』だということを現している。
俺と彼女は誰よりも近くて、誰よりも遠い存在。
初めて彼女に会った時に抱いた感情は紛れもなく、嫉妬、だった。
そんな感情もいつの間にか消え去り、今では確実に違う感情が俺の心を占めている。
そっと、01の文字を指でなぞると、くすぐったそうに身じろぐのを見て、自然と笑みがこぼれた。



そんな彼らの日常風景
 
 
(嫉妬が愛になったのか、愛するが故に嫉妬したのか、)





−−−−−−−−−−

ミクとミクオ。
一緒だけど一緒じゃない二人の複雑な関係を書きたかったんだけど、よくわからなくなった…。
とりあえず二人はイチャイチャしてて。

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