こんな目覚めなら何度でも
「浦原さん、起きてください」

 呆れたようななまえの声に背を向けたまま思う、なんとも贅沢な朝だと。

「もうお昼ですよ、いい加減寝飽きたでしょう」

 ──いやぁそれが飽きないんスよ、起きるまで居てくれるんで。

 なんて胸に秘めながら、顔が見えないのをいいことに頬を緩めた。

「浦原さーん、起きないと日が暮れますよ」

 悩ましげな声にようやく寝返りを打つ。唸るように喉を鳴らせば彼女の声が明るくなり、そのまま寝たふりをすると、残念がる。百面相が想像できる声、全く贅沢だ。

「……起きないと、悪戯しますよ」

 ぼそりと珍しい独り言。これは聞き逃すまいと、手首を掴んだ。

「へぇ、それはどんな悪戯です?」
「おっ起きてるじゃないですか!」
「ちょうど起きたんスよぉ。……で、何をしようと」
「起きたらしませんよ、聞かなかったことにって、うわぁ!」

 ぐい、となまえの腕を引いて布団に引き摺り込む。貴女を拐かすなんて朝飯前なんですよ。

 ──ではもう一度寝たらしてくれるんですよね、悪戯。


prev back next



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -