これシリーズ
※男同士 夫婦設定
クロームが2人の子供扱い


よく家出する困った子供がいます


「正チャーン、僕の娘知らない?」

 自身の携帯のデータフォルダから写メを見せながら、秘書である入江正一に問い掛ける。

「娘って……知りませんけど、また家出したんですか?」
「そうそう、何回目って話だよね」
「はあ……」

 社長室に報告に来た正チャンに質問を投げかけた。3日前から行方不明の娘がどこにいるか知らないか、と。
 まあ家出なんて初めての事じゃないんだけどね、3日も行方不明だと流石に心配だ。
 知らないという返答を聞き、はて娘は一体どこへ行ったのかと考えつつ指で顎を撫でた。
 顎に包帯が巻かれているのは、先日最愛の妻に、俗に言うお帰りのキスをせがんだ所容赦なく顎にアッパーカットを決められたせいで骨にヒビが入ったからだ。
 「顎を割られないように気をつけて下さいね」と言われたにも関わらず、次の日に包帯を巻いて会社に行ったもんだから、正チャンには哀れみの目で見られた。

「多分綱吉クンの家に居ると思うんだけどなー」
「綱吉って、ボンゴレの沢田綱吉の事ですか?」
「そ、ライバル会社なのにさ、やたら仲がいいんだよねー。うちの奥さんと娘。その内ボンゴレで働くとか言い出しそう」
「はあ……」
「ま、もし見かけたら連絡頂戴ね」
「はい、分かりました」
「じゃあ僕帰るねー、また明日」
「お疲れ様です、さようなら」

 うちのご近所さんにライバル会社の社長が住んでいる。
 どこでどう間違えたか分からないけど、なぜか骸クンと娘は綱吉クンと仲良くなってしまった。それはもう休日に一緒にお茶しに行くくらいに。
 夫としては複雑だよね、他の男と仲よさげにお茶に行くなんてさ。それに多分だけど綱吉クンは骸クンの事結構気になってると思う。
 あの笑顔の下に真っ黒なオーラが見えるんだもん、まあ僕も人のこと言えないけど。

「ただいまー」
「白蘭、おかえりなさい」
「骸クーンお帰りのチュー」
「また顎割られたいんですか、次は手加減しませんよ」
「……すみません。て言うかあれ手加減してたの? 僕全治1ヶ月なんだけど」
「そんな事より、クロームが帰って来ました」
「ちょ……え、本当?」
「ええ、沢田綱吉の所に居たみたいです」

 予想通りだ。家出して行く所なんて綱吉クンの所しか考えらんないもん。

「クローム、3日間も家出して何考えてるんですか? もう7回目ですよ!」
「ごめんなさい、骸様……」

 クロームと僕は血の繋がりはない。ていうか実際は骸クンとも血縁関係ではない。
 まあ当たり前と言えば当たり前だ。僕達は男同士なんだから。
 昔から骸クンとクロームは親しかったらしく、身寄りの無いクロームを結婚を機に娘として育てる事にした。
 何で骸クンの事を様付けで呼んでいるのかは未だに教えてくれないんだよね。
まあ多分一種の尊敬からくるものなんじゃないかなって思う。
 血の繋がりはなくても、一応僕の事はお父さんって呼んではくれるけどたまにすっごい冷めた目で見られてる時あるんだよね、あれ本当に怖いよ。
 まるで骸クンを取らないでって言ってるみたいな。

「あまり綱吉君に迷惑をかけてはいけませんよ。彼も忙しいんですから」
「でも、いつでも来ていいって、言ってくれたわ」
「ねーねー、何でそんなに家出するのさ。僕があんまり構ってあげられないから拗ねちゃった?」
「それはないから安心して、お父さん」
「…………あ、そう」
「白蘭涙出てますよ、拭いたらどうですか?」

 ちょっとグサッときたよ!だって即答だったし!
 骸クンに差し出されたティッシュを受け取り涙を拭った。この家での僕の立場って一体何なんだろう。

「ではクローム、何が原因なんですか? 何か気に入らない事でも?」
「それは……邪魔かと思って」
「は?」
「わたし姉弟が欲しいの。だから、頑張ってもらいたくて」

 頑張るって何を?
 …………ナニを……?

「何言ってるんですかクローム!」
「わたしがいたら思う存分出来ないと思って……」
「骸クン! 僕はいつでもオッケーだよ!」
「あなたは黙ってなさい! あのねクローム、僕たち子供は出来ないんですよ!」
「でも……」
「でも、じゃありません!」

 顔を真っ赤にしながら怒鳴る骸クンを見ながら、何て出来のいい娘なんだと感心した。家出の理由がまさかそんなおいしい理由だとはね。気も使わせちゃった事だし、今夜辺りどうだろう。え、何がって?
いわずもがな、だよね。


2011/04/05
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加筆修正済
title by 空をとぶ5つの方法




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