ある少女が男子テニス部のレギュラーと付き合っていると云う噂が出た。
こう謂う噂というのはよくある話。
しかし唯一違ったのが彼女がレギュラーと急接近した事だろうか?
彼女の名前は矢神姫華(やがみひめか)という。
彼女の背景は特殊で記憶喪失・孤児・施設と私立である立海に通う事は不可能に近い。
奨学金制度はあるが、枠はとても狭い。
スポーツであればレギュラーは必須条件であるし、学力であれば学年5位以内と条件が厳しいのだ。
のにも関わらず矢神姫華は成績も平凡、スポーツも平凡、見目も中の上ぐらいと平凡を絵に描いたような少女だった。
立海のアイドル部とまで別名のある男子テニス部のレギュラーとの接点なんて無いに等しい。
『 とお付き合いしているの。』
彼女自身が言ったのか、それとも他の誰かが言った言葉なのかは不明だが、この噂が立海に蔓延していた。
その噂を聞いた時、何か面白い事が起こる予感がした。
私は会社の書類に目を通しながら噂の張本人に
「ふふ、モテる男は辛いね?」
クツクツと嗤った。
「酷いな、俺の心は栄子だけのモノなんだけどね。」
私の手首を掴みテニスをして無骨になった指が首筋を撫でる。
「幸村、擽ったいよ。」
やんわりと手を退け様と心みるが反対の手も捕まえられた。
ペロリと唇な舐められる。
子供の癖に色気だけは大人ってどうなのか?
と溜息を吐きつつも幸村の好きにさせた。
重ねた口付けは徐々に深くなり快楽が引き出されていく。
幸村の重みも一緒に社長椅子がギシリと音を立てた。
快楽の中でどちらが言い出したか覚えてないけれど
《嘘を本当にしてみようか?》
と楽しい遊戯の幕開けをした。
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