こうしてお姫様は王子様に愛されて幸せに森の奥で暮らしました。
めでたし、めでたし。
って所かしら?
神谷みおが失踪して半月が経過した。
誰も、だ〜れも、神谷の事を気にかけてない。
あーあ、お姫様だったのに偽りの王子様からも忘れられて可哀想ね!
って私が同情すると思う?
こんなに面倒臭い事をしたのは久しぶりだわ。
神谷がいなくなって一番喜んだのは冷涼と補正が掛かってなかった真田とジャッカルかしら?
でも不気味ね。
だって神谷が存在していた記憶を誰も持っていないんだもの。
世界から抹消されてしまったのかしら?
一緒に消えた青年も存在自体が世界から消されているの。
何て面白いのかしら!
私でない大きな力が働いているのね。
私もその内、居ない存在になるかもしれないけれどそれまで愉しく人生を謳歌させて貰おうじゃない。
だって割りに合わないでしょう?
神谷のことは私と冷涼と彼等だけの秘密。
存在が消滅してしまった神谷と青年は、ホワイトデーに相応しく真っ白にデリートされてしまったとさ。
ふふ、何て愉快なホワイトデーなのかしら!
非情な女は狂ったように消滅した彼等を嘲笑ったのでした。
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